これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の家族の思いは、家族にしか。。。。。

家族の思いは家族にしかわからない。
 
認知症の人はなぜか一番身近にいる人を悪者にする。認知症の被害妄想だ。実際は一番近くで一番長い時間世話をしている家族こそが「被害者」なのだが。
 
普通ならばいつも世話をしてくれる人は特別に大事にする。少々不満があってもガマンして言わない。これからあと世話をしてくれなくなったら困るからだ。
 
認知症の人は違う。認知症の人の頭には未来はない。今現在だけ。「こんなことを言ったら明日世話しに来てくれなくなるから言わないでおこう」という気持ちは全くない。
 
だから、ヘルパーさんや家族に信じられないようなひどいことを言うし、怒りにまかせて暴れることもある。世間一般の「年寄りのわがまま」というレベルではない。
 
昨日、おばあちゃんのマンションに掃除に行った。帰りにゴミを出そうとドアを開けたら、偶然にも隣の部屋のドアも開いて、大声の応酬と捨てゼリフが聞こえてきた。
 
「そんなわがまま言うんならもう来ないから」というのが。言ったご本人はこちらを見てばつが悪そうに「聞こえました?すみません、うるさくて」と言う。
 
隣室の老人の娘さん(五十代半ば)だった。隣室の人はうちのおばあちゃんと同じ年ごろだが、入居当時はしっかりしていて自室で三食料理も作っていたはずだ。
 
六年もたつと認知症が出てきたようだ。近頃は娘さんに食事をまかせているらしいが、好き嫌いが激しくて困ると言っていた。「お嫁さんならいいわね」とも。
 
「お嫁さんなら他人だから少しは遠慮があるから、ものの言い方も違う」と言う。確かに認知症の人でも初期は「ひとによって態度を使い分ける」ことができる。
 
他人である嫁と実の娘とは態度が違うものだ。が、それも期間限定のことで、何年かして認知症が進むと誰も彼も区別なく「ひどい態度」が出てくる。
 
そうなってやっとご近所の人も家族の苦労を理解してくれるようになる。が、それまでの間は外からはわかりようもない。外部の人に対する態度は普通だから。
 
認知症家族」の苦労はそうなってみないとわからない。外からは想像もつかないのはこういう理由だ。「地域社会で認知症の人と家族を支える」というけれど。
 
地域の人々から困っていると思われていない場合、誰が支えてくれるのだろう。