認知症の人の「あと追い」は。。。。。
「本人のため」を優先すると、家族のストレスは増える。
ということで、結局は「本人のために家族がガマンする」のが最適、唯一の道だ。
しかし、ガマンには限界がある。忍耐力は個人差もあり、できる人とできない人がいる。その点一つをとっても認知症の介護は誰にでもできるものではないと言える。
認知症の人の「あと追い」はよく知られているだろう。が、実際その立場になってみると相当ストレスになる。うるさいハエと同じと言ったら本人がかわいそうだが。
認知症の人は何一つ一人では満足にできない。本人も初期は自分のことがわかっている場合もある。一人でできないことを自覚して、何をするのも自信がない。
何かしようとしても、その手順がわからない。知っているはずのことが思い出せないのは「ど忘れ」だが、認知症の人は毎日が「ど忘れ」の連続のようなものだ。
そこで身近にいる人を頼りにするようになる。何もかもわからないから、教えてくれる人がいつも側にいないと不安で、それで同居家族につきまとう。「あと追い」だ。
家族が出かけようものなら不安でしかたがない。三歳児の「初めてのお留守番」と似たような状態だ。誰か来たらどうしようかとか、宅配便や電話が来たら・・・と。
一人でいることで不安がいっぱいになると、出かけている家族を探す。息子や娘の携帯に電話したり、そこでもみつからないとなると、勤務先に電話したりする。
仕事中に「エアコンが壊れた、どうしよう」とおばあちゃんから電話が来て、仕事の帰りに寄ってみると、単にリモコンの操作ができなかっただけ、ということもある。
認知症の本人が携帯にかけてきても無視することにしたら、家族のストレスは減る。つまらないことで商談中や会議中に何度も電話が来るのは耐えられない。
認知症の人は自分が何回もかけていることを覚えていない。「何度も何度もかけたら迷惑だから」と言っても「?」で、翌日もまた何十回も仕事中に電話をかけてくる。
携帯には出ず、会社の固定電話にかかってきても「いない」と言ってもらう。そうすれば落ち着いて仕事ができる。が、これは絶対にやってはいけない、悪い例だ。
このあとどうなるかというと、びっくりだ。「息子や娘と連絡がとれない。何かあったに違いない」と親戚や知人に電話して探し、最後には警察に電話をかける始末。
一人にしてしまったことで、その不安から大きな妄想が生まれたわけだ。
認知症の人の電話は迷惑だ。うっとうしい。わけのわからない話は聞きたくないし、聞くとイライラする。聞かないほうが家族のストレスは減る。
それでも認知症の人の電話から逃げてはいけない。