介護と育児は共通点もある。。。。。
認知症の介護は子育てと共通する部分がある。
いくつも共通部分がある。「成長する脳」と「減退する脳」、全く別の方向なのにもかかわらず。未発達で「できない」のと、萎縮して機能不全で「できない」のと。
十数年前になるが、小学校の保護者会で担任教師に次のようなことを言われた。
「子供は自分にとって都合のいいことしか言わないものです。が、それは成長の一つ。だから、ウソつきとか、反抗的だとか言わないようにしてください。」
着替えが嫌で逃げ出すとか、嫌いな食べ物を吐き出すとかいう幼児期の反抗期も、脳の成長のあらわれだ。自己主張ができるようになったと理解すればいい。
何でも親の言いなりだった時期は脳が未発達だったからだ。「自分」ができてきて、好き嫌いを言うようになる。十歳ごろには、ウソで自己防衛をするようにもなる。
脳の状態によって人生には何度も反抗期がある。その最後が「介護拒否」かもしれない。もっと脳の機能低下が進むと、「何でも言いなり」のおとなしい老人になる。
そう考えると、老化は「発達過程の巻き戻し」で、乳児に戻るだけ・・・となるが、そこが同じように見えて同じではない。現実として介護は育児より何倍も難しい。
認知症の人の脳はバランスがとれていない。壊れ方が極端で、きれいな「巻き戻し」になっていない。バランスよく壊れていくのなら、これほど問題は出ない。
高齢で脳が萎縮していても、認知症のような症状がなく、普通に暮らしていける人もいる。脳がバランスよく壊れているのだろう。
育児と介護の共通点は他にもいくつもある。その中でも忘れてはいけないのが、「孤立化」の問題だ。「たった一人の育児、介護」は「あたり前」ではない、異常事態だ。
子供は社会で育て、老人も社会で見守る。それが今までは普通だった。少なくとも三十年前までは。家族が不在でも、地域の誰かが見ていてくれたものだ。
それをとり戻すことはできないのだろうか。