これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の人の世界は狭い。。。。。

ヒトはサルと同じく群れで暮らす動物だ。が、人間にもいろんな人がいて、中にはつきあいにくいタイプもあり、そういう人と同じ集団にいるとストレスが増える。
 
それに比べて「自分と同じ」はラクだ。意見や行動などで衝突することが少なく、ストレスも少ない。というわけで、自然と異質な人とつきあうのを避けて過ごしている。
 
そんな時に突然「親が認知症になったら」どうだろう。異質も異質、まるで異次元人、こんなに違うのは人生で初めて、まさに「未知との遭遇」というほどだ。
 
共通な部分を探すほうが難しい、それほど違う。まるっきり違う。ここまで異質な人と付き合うと瞬間的にでもストレスは極大になる。持続した場合は極限値を超える。
 
こういう人に合わせるのは不可能に近い。努力でどうにかできるものではない。
 
認知症の人の世界を想像してみよう。我々の世界と比べてはるかに小さい世界にいる。時間的には「今、現在」しかないし、空間的には「今、見えている」だけしかない。
 
過去の記憶がないし、未来の予測もない。三十分前どころか、数分前、数秒前の過去の記憶が出てこないこともある。今さっき本人が言ったことすら思い出せない。
 
そうなると言葉を忘れていなくても、双方向の会話ができず、意思疎通が難しい。
 
目の前のモノしか見えていない。極端に視野が狭い。ときには目の前のモノすら見えていない。目では画像をとらえていても、脳で画像処理ができない場合などは。
 
そうなると「見えているはず」と思い込んでいると、まずい結果になることもある。
 
「家族だから」「親子だから」という利点はあるのだろうか。よく知っているし、慣れているから世話しやすいはずだったが、認知症が出ると全く別人になってしまう。
 
利点はない。他人のほうが認知症は介護しやすいかもしれない。他人なら過去にとらわれないから、「ありのままの」現在を受け入れることが容易だろう。
 
家族だけの共通の記憶、何十年分もの思い出も「ないも同然」になってしまう。違う世界に行ってしまった人であって、親のようでも親ではない。
 
「家族だから」「親だから」という、それだけで認知症の介護ができるものではない。