これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症になると友人が離れていく。。。。。

認知症になると孤独になる。友人が離れていくからだ。
 
何十年ものつきあいでも同じだ。友人がガマンして会いに来てくれたとしても、本人が顔を見るなり「さようなら」と言ったり、「もう帰って」と言ったりする。
 
体調が悪くもなく、友人を追い返すような理由は何もない、認知症を知らない人にはそういうように見える。「頭がおかしい、普通じゃない」と納得して、もう二度と来ない。
 
嫌われるようなことをした覚えもないのに面会を拒絶される。その理由を「本人が会いたくないからだ、病気でやつれた顔を見られたくないんだ」と普通は理解する。
 
そうではない。顔も洗わずパジャマで商店街をうろうろするような人は「他人の目」を気にかけることはない。「他人の目を気にする」ことができるなら認知症ではない。
 
理由は、しゃべるのがしんどい、それだけだ。相手がどうのこうのではなく。
 
妄想の「つくり話」は流暢に長々としゃべるから、言語が不自由だとは誰も思わないが、そんな人でも会話(対話)となるとしんどいようだ。そこが不思議なところだ。
 
相手の話を聞き、理解し、それに対する応答を考え、適切な言葉を探して発言する。そういう脳の働きが壊れかけている。言葉とイメージが結びつかないこともある。
 
認知症になる前は普通にできていたことが、苦労してやっとできる。または、苦労してもできない。しゃべるのもそれだ。それがわかっているから、しゃべりたくない。
 
認知症の人が電話に出ない、それも同じ理由だろう。会話がしんどい、苦手、頭を使う、嫌だ、という気持ちからだ。電話に出ないと家族はイライラさせられるのだが。
 
それがわかっていたらイライラせずにすんだと、今さらながら思う。出ないのは面倒だ
からだ、出ないと誰もが心配するのに思いやる気持ちが少しもない、と腹も立つ。
 
誰かと話をするのがそこまで大変だとは全然知らなかった。それが悔やまれる。
 
認知症の人が孤独になるのは「一人がいい」「誰ともつきあいたくない」と本人が望んだ結果ではない。そう見えるし、本人が拒否したことは事実であっても。
 
壊れた脳がそうさせるのであって、本人の気持ちではない。本人は一人でいることは不安だ。一人では何もできない。自信がなく、一人にはなりたくない。
 
会話は苦手でも、一方的に話すのはいいらしい。ボランティアに「傾聴」というのがあるが、これなら誰にでもできる。長年の友人にはこれをお願いしたらいいのでは。
 
「もう帰って」は本心のようで本心ではない。その複雑な気持ちをわかってあげて、いつも誰かが側にいることが必要だ。認知症の人を一人にしてはいけない。