介護拒否、何年も続くことも。。。。。
介護拒否は一番頭が痛い問題だった。
うちのおばあちゃんは今は「おとなしい段階」になっていて、介護拒否はない。されるがままで、さすがに下手なことをすると「痛い」とは言うが、あとは文句も抵抗もない。
以前、施設の申込書に「介護拒否がありますか」という欄があって、事実を書くべきかどうか悩んだことがある。正直に書かないほうが入居できるのでは、と思った。
「介護拒否」の老人をどうやって介護できるだろう。プロだからと言っても。施設の立場で考えたら、そんなやっかいな人はごめんだ。他所に行ってもらいたいだろう。
認知症を知らない人が見たら、「介護を拒否してるのなら自分でさせれば、ほっておいて、それか、必要に迫られたら自分から頼むでしょう」と思うかもしれない。
身体障害がなく、手足が自由に動いていても、着替えも、入浴も、洗顔も、歯磨きも、食事をすることも一人ではできない、そういうことは一般には知られていない。
だから、ほっておけない。食事を拒否していても、腹がへったら食べるはず、とはいかない。脳の壊れている人は空腹感もないようだ。腹がへらないから、食べない。
満腹感もないこともある。夕食を食べたのを忘れて、「夕食まだ?おなかすいた」と催促したり、勝手に冷蔵庫を開けて中のものを食べあさったり。
認知症でいくら脳が壊れても、生存に必要な能力ぐらいは残っているはず、と思うのは誤りだ。生存に必要な手助け、介護を拒否し続けるのだから。
食べることもそうだが、薬を飲まないとか、点滴を抜いてしまうとか、訪問診療医を追い出すとかの医療拒否、診療拒否は持病の悪化を招く自殺行為と言える。
介護拒否の人を放置すると、生命の維持は難しい。が、これがなかなかなくならない。おばあちゃんは認知症が進んでおとなしくなるまで続いた。
おばあちゃんは犬猫が嫌いなのでドッグセラピーは無理。音楽は好きでCDを聞いていたが、機械の操作ができなくなってからは関心もなくなったようだ。
歌うのが好きだったので、「老人マンションのカラオケに行けば?」とさそったが、「知らない人ばかりだから」と拒否。他の方法でストレス解消をはからねばならない。
それなら公園で花でも見れば・・と思うが、「外出拒否」もある。耳鼻科や眼科など行きつけのクリニックに行くのも嫌だと言い出す始末。どこにも行けない。
介護拒否の原因はストレスだが、そのストレスの元になるもの(不安感のタネ)はいろいろある。介護されたくないのは、その人が嫌、安心できないから、という例も。
おばあちゃんの場合、特定のスタッフが担当の日だけは入浴拒否がなかった。この人なら安心できたのだと思う。技術なのか、人柄なのかわからないが。
家族なら拒否しないということでもない。家族だから安心・・・というのは認知症が出る前までだ。発病後は家族であっても時に極悪人だと思われてしまうから。
ほんとうに介護拒否は困る。