これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、いつも誰かが側にいれば。。。。。

世間一般は認知症のことを甘く見ている。
 
名前からしてそうだ。認知・記憶機能障害、短期記憶が困難になるという中核症状だけしか病名からはわからない。「認知できない症」という理解だ。
 
認知症という病名が普及する前の「老人ボケ」や「老人性痴呆」という言い方も同じで、病気の一面しかとらえていない。ぼけた反応で会話が成立しないというような。
 
認知症老人とつきあう毎日が漫才の「ボケ、つっこみ」程度であったなら、誰もがみんな「笑ってすませる楽しい介護」ができ、精神的な苦労やストレスは少ない。
 
認知症になると「ボケる」だけではない。「狂う」こともある。そこを世間も、自分はボケないと思っている老人達もわかっていない。そこに甘さがある。
 
どんな病気でもストレスになるが、脳の機能障害によるストレスは特に大きい。ストレスによって精神疾患になりやすい。うつ病統合失調症などの併発もある。
 
記憶がとぎれ、思い出せないというだけですまない。それによる不安感が心理面に与える影響が大きく、妄想などの異常行動(BPSD)を引きおこす。
 
世間は認知症という脳障害を軽く見ていながら、身体障害については「それは大変」と重視している。「手があがりますか」の介護認定を見たらわかるように。
 
老人も同じく、「身体が不自由になったら(足腰が立たなくなったら)介護が必要」という認識が普通のようだ。うちのおばあちゃん達がそうであったように。
 
認知症のことを知らないからそう思うのだろう。老人こそ認知症を学ぶべきだ。
 
歩けても、食事もトイレも入浴も着替えも全てが「自立」であっても、認知症だったら24時間の介護(見守り)が必要だ。一人では何もできない。一人では危険だ。
 
「これでいいの?」「どうすればいいの?」と一つ一つ、些細なこと、つまらないこと、誰でもわかっていることを誰かに聞かないと何もできない。それが認知症だ。
 
「こんなこともわからない、こんなことがわからないはずがない」という質問に一つ一つ丁寧に答えてくれる人が側にいないと、認知症では生きていかれない。
 
認知症の老人を支えていく基本はそれだ。「いつも誰かが側にいる」という安心感こそが、本人のストレスを減らし、病気の進行を遅らせる。
 
残念ながら、今の社会では「いつも誰かが側にいる」ことは難しい。