老人介護、あるがままに。。。。。
「少しでも上に」でも、「あるがまま」でも・・・
以前、介護施設の「あまりにやる気のない」体操について書いたことがある。老人達もだが、指導者、前に立って見本を示している介護職員もやる気がなさそうだ。
十数人いる中で、まともに体操をしようとしている人は一人か二人。あとはただそこにいるだけで何もしていなかったり、よそ見をしてたりで、体操の時間とは思えない。
言ってもきかない幼児を集めて体操をさせるのと同じだ。その場合、指導者は幼児の興味を引くような工夫をして注目させたり、内容を変更したり、努力するだろう。
そういう努力があれば、施設の老人でも「もう少し上に」なれるはずだ。体操に参加して少しでも運動能力の保持ができる。やる気のある指導がなぜできないのだろう。
認知症のリハビリに対する「残念なあきらめ」で、やる気のない体操になっているんだと当時は半ば腹立たしく思っていた。介護のことを何も知らないから。
今になって思えば「やる気のない」体操は悪くはない。それが認知症の老人に対しては適切な対応だ。興味のない人はやらなくていい、強制しないということが。
終わりの近い老人にとって「少しでも上に」というより「あるがまま」のほうがいい。
そのことに最近になって気がついた。これまでの人生、「少しでも上に」で毎日を過ごしてきた。最期まで向上心を持ち努力するのが後悔のない生き方だと思っていた。
そうとも言えないようだ。一つ一つ積み上げていく時期には「少しでも上に」でいいが、一つ一つ荷物をおろしていく時期にはそれはふさわしくない。
老人は老化によって自然に一つ一つ能力を失っていき、老衰に至る。老人の介護とは「あるがまま」を見守ることが基本になると思う。
もちろん本人が信念を持って「少しでも上に」をめざすなら、それはそれでいい。