「個の時代」の在宅介護という矛盾。。。
「個の時代」に在宅介護を奨励するのはどうかと思う。
どう考えても矛盾がある。福祉予算の削減という必要上やむを得ないのだろうが、無理なことを押し付けられても。社会構造や家族形態を見ればわかるはずだ。
家族や地域社会で老人を支える。言っていることは正しいし、条件さえ整っていれば可能だ。できないことはない。「住み慣れた場所で最期まで」というのももっともだ。
郡部はともかく都市部ではお隣さんが二年や三年で入れ替わるような時代だ。老人を支えるだけの「ご近所づきあい」が成立するわけがない。
家族だって同様だ。少子化で戦力は少ないが一致団結して老人を支える、という理想的な例がないこともない。が、諸般の事情により、協力を得られない場合も多い。
まず離婚。離婚が増えており、介護にとって一番の戦力である長男の嫁がいない。また嫁姑の仲が悪く、介護に協力してくれない場合もある。
一度も嫁をもらわない、生涯独身というケースも増えている。
長男の嫁、次男の嫁、他家に嫁いだ娘、出戻りの娘、未婚の娘、そして孫達、そういう戦力の多い「大家族だった時代」と今の時代は条件が全然違う。
何かあったら、声をかけたら、家族や親戚やご近所がすぐに集まってくれ、協力して事態を解決してくれるという、そういう強い絆のあった社会は遠い昔のことだ。
地域社会も家族もばらばら、どこに絆があるのか見えない。地域でも家族でも老人を支えていくことなど無理だ。何に期待しているのかわからない。