これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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老親ひとり子ひとりの世帯

「親一人子一人」世帯の老人にも支援が必要だ。
 
独居老人については、ボランティア団体や地方自治体の福祉の支援があり、地域でも町内会レベルでも「見守り対象」とされ、声をかけて安否確認している所も多い。
 
それに対して、「老親一人、中高年の子が一人」という世帯は全くと言っていいほど支援の対象から除外されているようだ。「息子や娘がいるから・・」だいじょうぶだと。
 
息子や娘が仕事に行っているときは独居老人と同じ条件なのだが。また、介護が必要になった時には、たった一人の家族でいったい何ができるのだろう。
 
「息子(娘)さんがいるから」と、ご近所の人も遠慮して手を出さない。「よけいなお世話」と言われるのが嫌で。今の時代の近所付き合いとはそういうものだ。
 
できるだけかかわらない、表面上の付き合いにとどめる。トラブルを避けるために。
 
親一人子一人世帯の場合、特にご近所など地域の支援が必要だ。そうでないと、介護の重圧による悲劇がおこってしまうことがある。
 
同居する息子(56歳)が寝たきりの老母(79歳)を放置して、医者にも見せず死亡させた事件の判決が出た。保護責任者遺棄致傷で懲役二年、執行猶予三年。
 
重度の床ずれで感染症を起こし、それにより落命したそうだ。免疫力の落ちた老人は小さな傷でも命とりになる。毎日傷口を消毒しておかないと。
 
介護保険を利用せず、訪問介護も訪問診療も一切受けておらず、息子が一人で世話をしていたらしい。誰か親族が手伝うこともなかったのだろう。
 
他人が家に入ってくることを嫌う老人は多い。デイサービスに行きたくないという人も多い。それで介護サービスを一切拒絶していたのだろうか。
 
それにしても病院に連れて行くこともしなかったのは疑問だ。寝たきりで動かすのが大変なのはわかるが、「大変だからやめた」ではすまされない。普通ならば。
 
介護タクシーなら寝たきりでも、ストレッチャーのまま乗れるタイプの車があり、運転手だけでなく補助要員としてヘルパーさんも付けてくれる。通院可能だ。
 
お金の問題だったのかもしれない。介護保険料も健康保険料も払えなかったか、それは払えても交通費や介護費・医療費の本人負担(一割)が払えなかったのか。
 
重度になり、歩行不能になったらとても一人では介護できないだろう。いくら勤務先の理解があっても体力や気力が持たず、仕事だってやめることになる。
 
仕事をしなくても親子二人が暮らしていけるだけの財産があれば問題はないが。
 
それにしても、近所の人は何も気づくことがなかったのだろうか。山の中の一軒家でもないだろうに。鳥取県北栄町とのこと、よく知らないが過疎地なのだろうか。
 
どこにせよ、老人が放置されていても誰も気にしない、それが今の時代。
 
「しばらく顔を見ないけど、様子はどうなのか」と気にする人が一人もいなかったか、気にかける人がいたけど息子に断られて家に入れなかったのだろうか。
 
ほとんどの人は「息子がいるから問題はない。口を出さないでおこう」と思うのだろう。息子や娘がいるからだいじょうぶという保障は全くないのに。
 
同居家族がいても、場合によっては老人は孤立している。地域社会、世間から忘れられたところにいる。親一人子一人世帯への配慮も必要だと思う。