施設のようで施設でない高齢者住宅
老人介護施設のような高齢者用住宅がどんどんできている。
近頃特に増えているのが、サービス付き高齢者専用賃貸住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームだ。これらは「施設のようで施設でない」という共通点がある。
介護サービスは付いているが、「施設介護」ではなく「訪問介護」、すなわち「在宅介護」扱いとなり、施設と比べて個人負担が格段に大きい。
施設介護は定額で24時間だが、在宅介護は「24時間包括介護」が可能な事業所が少ししかない。これが普及していれば問題はないが、普及の見込みはどうだか。
「包括でいくら」ではなく、個々のサービス代金を積み上げた合計になるから高い。
施設介護がセット料金、在宅介護はアラカルト料金と考えるとわかりやすい。必要な介護サービスが少ない時期はアラカルト(単品)のほうが安くあがる。
何年かして介護度が重くなって、食事もトイレも介助が必要になるとアラカルトの合計がセット料金を上回るようになる。
そういうことを考えると、ここ数年急激に老人の住むところが増えてよかったと単純に喜んでもいられない。予想より費用負担が大きくなり退去することになるなら。
こういう「施設もどきの」所は一時避難場所に過ぎないようだ。とりあえず入居して、特養(介護老人福祉施設)などの「施設」をじっくり選んで、重度になる前に移る。
今日の日経新聞で作家の本岡類さんの意見を載せている。以下のように。
「とりあえず費用の安いサ高住に入居しながら有料老人ホームに体験入居し、重度の要介護になれば、気に入ったホームか特養に住み替えるのが一案」
いくら老人用住宅が増えても、最後まで住めないとなると意味がない。やはり終の棲家は特養か有料老人ホームだけのようだ。
特養が増えない限り、多くの老人の行き場がなくなるのでは?