これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の人の服薬は、一人では危険だ。

ワルファリンは殺鼠剤だった。
 
うちのおばあちゃんはワーファリンを何年も飲み続けている、脳梗塞の予防として。これは販売名で、正式な薬品名はワルファリンだ。血栓ができるのを阻害する。
 
これがネズミを殺すのに広く使われていて、この薬に耐性ができたネズミが出現しているという報道を見るまで、これが殺鼠剤でもあるとは全く知らなかった。
 
この薬は血液の凝固を阻害するので、出血し始めたらもう止まらない。この殺鼠剤を混ぜたえさを食べたネズミは、多くが腹腔内の大量出血で死に至るらしい。
 
おばあちゃんがこれを飲み始めたころ、いくつか薬剤師さんから注意された。この時は認知症でなかったから本人が聞いて、しっかりメモをとってそれを守っていた。
 
切り傷などで出血が止まらなくなるから、ケガをしないように。また、グレープフルーツやマンゴーなど一部の食べ物は飲みあわせで薬が効きすぎるから避けるように。
 
本来まじめな性格で、人の意見をよく聞くから、ケガをおそれて包丁を使わなくなり、しだいに料理をしなくなった。これで認知症になるのが早まったかもしれない。
 
認知症が出てからも長い間一人暮らしをしていた。家族が気づくのが遅れたせいだが、この期間に薬の飲み過ぎなどなく、何事も起こらなかったのは幸いだった。
 
ネズミを殺してしまうような薬を毎日飲んでいるとは知らなかった。今から考えるとおそろしい。大量に飲んでしまったら身体の弱った老人はどうなっていたか。
 
この薬の他に、降圧剤も飲んでいる。こちらのほうは飲みすぎると急激に血圧が低下して大変なことになる。それは当時も気にかけてはいたのだが。
 
薬を飲んだか飲んでないかわからないから、念のため飲んでおこう。そういうように老人は重複して薬を飲んでしまうものだ。残っている薬を数えてみることもせず。
 
認知症が出ていたら計算はむちゃくちゃだ。数えても正しく数えているかどうか。
 
「お薬カレンダー」に入れておいても、認知症の場合は役に立たないことが多い。順番を無視して飲んだり、なぜか薬を入れ替えてあったりする。
 
認知症の一人暮らしで、「まともに薬が飲めている」と思っていては危険だ。いつ突然どんなことが起こるかわからないのが認知症だから。
 
毎食時の薬の服用は、誰かが見に行ったほうがいいと思う。遠距離で不可能な場合はヘルパーさんを依頼するなり、ご近所の支援を頼むなりして。
 
介護保険での「服薬管理」と称するものは、あまり役に立たない。一週間に一回、看護師さんや薬剤師さんが薬の消費量をチェックするだけだから。
 
「ちゃんと減っているから薬が飲めている、余っているから飲んでいない」というものではない。本人が薬をどっさり捨てていることがある。(実際に何回もあった。)
 
認知症の人の服薬は必ず誰かが側で見ているべきだ。一人では危険だ。昨日まで「できている」からといって、今日「できる」とは限らない。