「脱胃ろう」には嚥下リハビリを
「脱胃ろう化」を進めるべきだ。
1)供給過剰とされる歯科医を有効に活用する。(歯科医を嚥下リハビリ医として)
2)歯科医師と医師が連携して患者の食事指導をする。
川渕教授はこれによって「胃ろうをできるだけ避ける」ことを可能にし、「脱胃ろう化」を進めることで、医療費の増加を抑制できるとみているのだろう。
経管栄養、つまり経鼻チューブや胃ろうだ。鼻から栄養液を入れるより、直接におなかのボタンから胃に入れるほうが違和感がない。ということで「胃ろう」が選ばれる。
そして一部の「胃ろうはずし」に熱心に取り組む施設を除いては、胃ろう設置後はそのままだ。一時的な機能低下であって、本来胃ろうは必要のない人も含めて。
なぜなら、現段階では胃ろうを付けたあとのリハビリ、つまり経口摂取に戻すための嚥下リハビリをするようになっていないから。一部の病院や施設を除いては。
しかし、認知症が中程度以上だと嚥下リハビリを依頼しても断られることがある。リハビリ科では、「リハビリできない」とみなされるのだろう。専門外ということか。
嚥下機能低下を防ぐための嚥下リハビリをしてくれる所がほとんどないから、胃ろうの予防もできず、胃ろう設置に至る。また必要がなくなっていても、そのままになる。
嚥下は命にかかわるから、素人がむやみと経口摂取をめざしてやっきになったら危険だ。誤嚥や窒息を考えると手が出せない。胃ろうのままほっておくのが安全だ。
胃ろうで長期間暮らしていると、認知症の人は「ものを食べる、水を飲む」という動作を忘れてしまうだろう。毎日繰り返している動作さえ、突然できなくなるのだから。
一ヶ月も二ヶ月も口から食べることなく、一日三回安静にして栄養液を流し込まれていたらそうなる。噛むこと、飲み込むこと、それらの動作を再度学習できるだろうか。
認知症の人の「胃ろうはずし」は難しいだろう。会話ができず、教えようにも伝わらないこともある。胃ろうになる前のリハビリ、こちらは期待できるように思う。
ただし、内科医がはたして「歯科医と連携して」ができるかどうか。難しいのでは?