認知症の不穏とは
「不穏です」と言われてもよくわからない。
介護施設や病院で、スタッフにおばあちゃんの様子をたずねると、
「昨日までは落ち着いていたのですが、今日はちょっと。不穏、ですね」と言われることが多い。
不穏とは、世間一般では不穏な空気を「よからぬ」空気、何か悪いことのおこりそうな気配、ととる。
検索すると、「危ない、不気味、危険な」、というのと同類の言葉だ。
「政情不穏で、不穏分子が」と言えば、一触即発の戦争や革命前夜、テロリストが「怪しげな」不穏な動きをしているようなことを連想する。
それが一般の解釈だ。
そんな悪い状態なのかと気になるが、相手(専門職)は「いつものこと」といった感じで平然と、いつものように落ち着きはらっている。
全然「不穏」などではないようだ。
介護用語では別の意味で使っているのかもしれない。専門職の間だけでわかるような、専門用語としての使い方があるならと、検索してみた。
。。。。「介護110番、介護用語事典」では次のように説明してある。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
納得できた。要するに「認知症の不穏」という別の意味が添加されている。
(周辺症状とは異常行動等(BPSD)を指し、中核症状に対しての呼称)
しかし、この解釈は少し違う。
認知症患者にとって異常行動等(BPSD)は日常的なことで、特別ではない。
しばらくしたら消える妄想もあれば、延々と続くものもある。
ということは、「不穏」とは異常行動等(BPSD)が顕著に出現している状態、それを指しているようだ。
あるかないか、ではなく、程度の強弱だと考えたらいい。「ひどくおかしい」が「不穏」で、「おかしい」が「落ち着いている」ということだろう。
程度だけでなく、異常行動等(BPSD)の内容が違う場合も考えられる。
いつもは落ち着きがなく徘徊しているのに、今日は黙り込んで部屋に閉じこもっているとか。
「いつもと違う」のが「不穏」で、「いつもと同じ」なのが「落ち着いている」とも言える。
他に適当な言い方がないのだろうか。
認知症老人の家族でも介護用語を知らないのが普通だ。家族なんだから介護の勉強をするべきだとは思っていても。
「不穏です」と言われても「何が?」と思うだけかもしれない。
「不穏」と呼ばれたら、ただでさえ哀れな認知症老人がますます哀れに感じられる。何ともやるせない。
「うちの親はどんなにおかしくても不穏ではない。それが日常だ」と言いたくなるのだが。
「うちの親は不穏ではない」 http://blogs.yahoo.co.jp/gocyagocyaiu/64743773.html