これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の妄想モンスター

認知症になると精神疾患をも併発しやすい。
 
発達障害の人やその境界型の人は統合失調症ウツ病などの精神疾患を併発することが多いらしい。脳障害により社会適応が困難で、ストレスが多いからだ。
 
発達障害は先天的に脳のある部分が働いていないもので、病気ではない。薬で治るものでもない。ただ、認知症と違ってそれ以上進むことはない。
 
認知症と共通するのは、脳が働いていない部位によって、心理的視野狭窄があったり、感情のコントロールができず暴走したり、というような「特性」があることだ。
 
その特性のせいで人間関係に悩み、社会的なストレスを避けて孤立しがちになる。
 
認知症の人は精神状態が不安定で、いつもストレスを抱えている。これは病気の性質上避けられない。症状によって周囲の人と「ずれ」が生じ、人間関係も難しくなる。
 
人間関係がうまくできず孤立するようになったり、また自分から他人との交渉を避け、家にひきこもったりする。いわゆる社会性を失って孤独になり疎外感を持つ。
 
それだけでも精神疾患を引き起こすには十分だが、その上に妄想が重なる。
 
普通の人には見えていないものが見えて、よけいに不安がつのる。それを周囲の人に訴えても笑って相手にしてくれない。家族すら誰も信じてくれないときは、絶望感。
 
そういう幻視や幻聴が毎日のようにあって、その中で暮らしていたら、誰でも頭がおかしくなるだろう。毎日がホラーとサスペンスの連続で、リアルにその中にいたら。
 
うちのおばあちゃんは幻視幻聴が「殺人系」だったから、いつも「助けて。誰かぁ」の日々だった。異常行動(BPSD)が激しくなり認知症だと気づいた頃のことだ。
 
妄想モンスターがどこにでもいて、ドアや窓を密閉していても隙間(鍵穴やエアコンの噴出し口)から入ってくるのが見えるらしい。おびえてしまって大変な騒ぎだ。
 
そんな妄想モンスターと一緒に暮らしていたら、精神病になる。なってたと思う。精神科医にみせるべきだったが、当時すでに「外出拒否」で通院すらできなかった。
 
訪問診療の先生は認知症の患者も多いのに「内科医で精神科は専門外」と、そ知らぬ顔で通用するのだろうか。精神科も学んで適時対応してもらえればたすかる。
 
「殺される」と騒いでいたのは、要介護1のころだ。それから数年経った今は、そういう騒ぎはなくなった。妄想はあっても、「殺人系」ではなくおとなしいものだ。
 
もう今では妄想モンスターは見えないのだろうか、それともすっかり慣れてモンスターとお友達になったか、見えるけど害はなく、殺されないとやっとわかったのだろうか。
 
聞いても答えはない。おばあちゃんの頭の中をのぞいてみたいものだ。