認知症老人はリハビリできない
認知症だからリハビリできない。
うちのおばあちゃんとほぼ同じころだった。長嶋さん入院のニュースを見ながら、「あんなにならないように予防しないとね」とおばあちゃんが言っていたのを思い出す。
それから一年ぐらいで、おばあちゃんの最初の脳梗塞発作が起きた。心房細動が起きてからは予防薬(ワーファリン)を飲んでいたのだが、薬では防げないようだ。
それでも今や車椅子だ。マヒもなく、歩く機能はあるが、歩けない。他人と比べることは避けるべきだが、長嶋さんとは大違いだ。リハビリできるか、できないか、で。
今回の発作では、リハビリ科のある病院にかかったにもかかわらず、「認知症による起立バランス障害が強いため、入院リハビリによる利益は少ない」とされた。
認知症で何に対しても「意欲のない」タイプで、八十歳を超えた高齢だと、何をしてもムダだと思うのだろう。一般的にはそうだ。家族としてはそうではない。
ここであきらめたら、歩くことをやめたら、立てなくなる。立てないと、車椅子の移乗も困難になり、寝かせっきりになる。手足の関節が固まって動かなくなる。
何とか歩かせたい。が、本人は歩きたくない。歩くことが苦痛だったら、それを強制するのはかわいそうだ。もう先がないのに。次の発作が最後かもしれない。
認知症老人が楽しんでリハビリできる、そんな方法はないのだろうか。