これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (360) 入浴がこわい?

<That's Ninchi Show  No.360 >
 
やはり老人マンションは「自立」した老人のものだ。
 
特養(介護老人福祉施設)の待機場所として使うことが多いが、待っているうちに介護度が高くなっていくと、住みにくいかもしれない。
 
設計からしてそうだ。少なくとも、うちのおばあちゃんの老人マンションはそうだ。車椅子に対応したミニキッチン、洗面台はあるが、浴室とトイレ、玄関ドアは普通だ。
 
重たい鉄の玄関ドアは、外開きで、引き戸タイプではない。トイレも、車椅子で使用するような大きな空間はなく、一般のマンションと同じ狭さ。引き戸にはなっている。
 
浴室もまったく一般のユニットバスと同じ。ただし浴槽が低いから出入りはラクになってはいる。自宅の浴室より狭く、ヘルパーさんの介助を考えていない設計だ。
 
浴槽は三方が壁にくっついていて、ヘルパーさんは手前の一方向からしか手を出せない。介助して浴槽から出たり入ったりさせるには、三方向が必要だ。
 
介護施設の浴室のように、広々として真ん中に浴槽があるとか、壁は一方向だけで三方向は空間があって介助者が動きやすいようなゆとりがあるのが理想だ。
 
少なくとも浴槽の二方向は壁に接しておらず空間がある、という設計にするべきだ。
 
介助する人のスペースとして最低限必要な空間を確保する。老人の住まいというのは、それを何よりも優先して作ってほしい。いずれ皆介護されることになるから。
 
安くあげるために一般のマンション規格のユニットバスを使うのだろう。特注サイズとの価格差は大きい。またバス・トイレを広くすると居室が狭くなってしまう。
 
やはり老人マンションは「要介護」老人のためではないようだ。「施設ではなく、家。だから、いつまででも住んでいただけます」とパンフレットには書いてあるが。
 
要介護重度者のための「機械式浴室」はあっても、自室の設備は要介護者むけではない。何と中途半端なことだろう。「自立」か、「寝たきり」かでその中間はない。
 
狭いトイレ、狭いユニットバスで、ヘルパーさんたちは苦労しながら介助してくれている。普通の賃貸マンションにいるのと同じではないか。家賃はすこぶる高いのに。
 
今の時代、不動産投資として高齢者専用賃貸住宅を建てようとする人が多いらしいが、実際に住む人の身になって考えてみてほしい。お金もうけだけでなく。
 
狭いユニットバスで肥満体のおばあちゃんを動かすのは相当な腕力や、技術がいると思う。慣れてない人には難しいかもしれない。家族には無理だったから。
 
おぼれそうになったり、転びそうになったことが一度でもあると、「もうお風呂は嫌、こわい」と思い込んで、入浴拒否になるだろう。認知症老人は不安感が大きいから。
 
ユニットバスがおばあちゃんの入浴拒否の理由の一つではないかと思う。