これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (355) 老人虐待?

<That's Ninchi Show  No.355 >
 
洗髪拒否が続いている。
 
土曜日、いつものように老人マンションに行ったら、またいつものように顔を見るなり、おばあちゃんは不平、不満、グチを言い始めた。聞きもしないのに。
 
ほとんど同じことの繰り返しだが、新しいことが一つ、どうやらヘルパーさんは洗髪にチャレンジしてくれたようだ。「お風呂で髪の毛をぬらされた」とおこっていたから。
 
それしか言わないので様子がよくわからない。この日はケアマネージャーさんは休みで話を聞けないし、ヘルパーさんは日替わりでいろんな人が来てくれるから。
 
本人は記憶があるのかないのか曖昧で、あっても思い出せないのか、聞いても返事がない。自分の言いたいことだけは言えるが、質問には答えられない。
 
質問の意味をとらえる→ それに対する返事を考える→ 言葉にして発言する。その三段階、この流れ作業が認知症の脳では難しいのかもしれない。
 
外国語を学ぶときと同じだ。「言う」のと、相手の言うことを聞き取るのとでは、「言う」ほうが容易だ。早口だったり、知らない単語をいくつも使われてたら聞き取れない。
 
認知症が進むと相手の発言を理解することも難しいのだろう。
 
状況がわからないので想像するしかないが、たぶん洗髪はできなかったと思う。髪の毛にシャワーをかけただけだろう。髪がぬれて怒り出して、終わりだ。
 
例の妄想もまだ進行中だ。「髪の毛をぬらされた」件の話のあとに、「悪い人がいる、窓の外に寝かされた」と続く。この妄想はなぜ生まれたのだろう。
 
「悪い人」は誰なのか、聞いても答えがない。以前は緊急ブザーを押しまくるので注意され、その罰として外に寝かされたと言っていたが。虐待妄想(被害妄想)か。
 
「バルコニーに寝かせられた」とは、かわいそうな妄想だ。シャワーを頭にかけられた上に、屋外に放置されたら、八十二歳の老人は生きてないだろう。
 
「それほどひどい身の上だ、自分は不幸だ、生きていてもいいことがない、自殺する」というようなことを、おばあちゃんはいつも考えているのだろうか。
 
妄想が事実だと思いこんでいたら、本人の言うようにそれは不幸な毎日だろう。
 
長生きしてよかった、そういう老後を望んでいたのだが・・・楽しそうではない。妄想の原因になっている不安感は取り除いてあげないと。
 
しかしそれが何に由来するのか、さっぱりわからない。客観的には文句のない、幸せな環境にあると思うのだが。主観、本人の気持ちは違うようだ。