これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (354) トイレ拒否

<That's Ninchi Show  No.354  >
 
おばあちゃんは若い男が苦手(かもしれない)
 
土曜日、いつものようにおばあちゃんの老人マンションに行くと、ちょうどトイレ介助の時間だった。この日は若い男性のヘルパーさん、二十代前半、初めて見る顔だ。
 
ベテランのヘルパーさんも一緒に付いて来たから、新人「見習い中」か研修生なのだろう。この時代、どこにも就職先がないのだろうか。男でも若くても仕事がない。
 
若い人がこういうしんどい仕事に就く気になるのは、よほどの覚悟(社会貢献という)があるか、他に仕事がなくてやむを得ずか、どっちにせよがんばって続けてほしい。
 
「がんばれ」と思いながら見ていたが、おばあちゃんの思わぬ抵抗があった。最初からこれでは・・・新人さんは抵抗にめげずに、あきらめずがんばれるかどうか。
 
「トイレ行きましょうか」との声かけに、おばあちゃんは「帰ってください」ときっぱり拒否した。初めて見る顔で不安だったのだろうか、それとも若い男の子だから?
 
老人でも、八十二歳でも、認知症でも、異性に下の世話をしてもらうのはやはり抵抗があり、恥ずかしいのだろうか。どの施設でも男性の職員を多数見かけるのだが。
 
そういえば以前、入居当初、入浴介助に中年男性のヘルパーさんが来て、おばあちゃんが追い返したことがあった。以後、入浴は女性のヘルパーさんを指定している。
 
おばあちゃんは面食いだ。ケアマネージャーさんだって、前任者は「男前」で好きだったが、今の人はイケメンでないせいか、嫌われている。性格も全然違うのだが。
 
この新人さんはイケメンでもなくブサイクでもない、普通のやさしそうな子だ。何で嫌うのかわからない。たぶん頼りなさそうに見えて不安になったのだろう。
 
拒否があってもトイレ誘導の努力はみのった。なんだかんだあったが、結局はトイレ介助は成功した。一人でトイレまで歩けたら何の問題もないのだけど。
 
三年前までは一人でベッドから起き上がってトイレに行っていたのに。なくしてしまった能力を思うとあわれだ。一つ一つ、これからも失っていくことになるから。
 
最近、会話は一方通行で、ほとんどひとりごとだが、まだ自分の意思を伝えることはできるようだ。それが介助をことわること、介護拒否という形なのが問題だが。
 
「この人は嫌だ」とか、「今は嫌だ」とか理由が言えないから、介護するほうは困る。できないことだらけだが、まだ「拒否できる」のは喜ぶべきなのかもしれない。