これが認知症なんだ (347) 外出拒否
<That's Ninchi Show No.347 >
どこへも行きたくない、というのも認知症のせいだろうか。
おばあちゃんは発症前は全く「ひきこもり」の要素はなかった。友人と一緒に買い物に行ったり、食べ歩きをするのが楽しみで、よくしゃべる明るい人だった。
ところが、異常行動(BPSD)が出てから一年もしないうちに、「ひきこもり」になった。それでも老人マンションに引越してしばらくは説得すれば部屋を出ることもあった。
天気のいい日は近くの公園へ散歩に、また以前から通院していた皮膚科や眼科に連れて行くこともできた。当日になって「行きたくない」と拒否することもあったが。
それがある時から突然、何のきっかけもなく、外出拒否が始まった。思い当たる理由は何もない。自室とマンション一階の食堂、これ以外の場所へ行くことを嫌がる。
自室のバルコニーにさえ出ようとしない。病院や診療所に行くことも拒否する。以前なら絶対に考えられないことだ。「健康オタク」と言っていい程だったのだから。
発症前はテレビの「きょうの健康」を毎日見て、何種類ものサプリを飲み、毎日どこかの診療所に行っていた。診察券の束があり、薬は驚くような量だった。
「少しでも気になることがあったら医者に行く、手遅れにならないように」と本人は言っていたが、普通よりは神経質なタイプだったのかもしれない。
そんな人が「病院に行きたくない」と言い出すことがあるなどと思いもよらなかった。時間をおいても誰が説得しても気持ちは変わらない。「介護拒否」と同じだ。
そういうわけで、どんなに費用が高くても訪問診療を依頼するしかない。まだ介助者がいれば歩くことができるし、車椅子という手もあり、通院可能なのだが。
「どこにも行きたくない」と思う理由は何だろう。それはどうすれば解決するのだろう。
わからないことが多い。