これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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育児も介護も社会で

育児放棄も介護放棄も原因は一つだ。
 
放棄した人を社会は非難し、そこまでに至るのを防げなかった周囲の人々まで非難するが、これらは個人の資質の問題ではない。
 
ヒトはサルと同様に群れで暮らす動物だ。霊長類の赤ちゃんは未熟なままで生まれ、子育てが他の動物に比べて困難だ。他の動物のように生まれてすぐに歩き出すことがなく、育つのに時間と手間がかかる。
 
だからサルは、同じ群れの中の赤ちゃんを全員で協力して育てるらしい。繁殖能力を失っても長生きしているのは、子育ての手伝いをするためだとも言われている。
 
ヒトも群れの中で、みんなで子育てをするのが自然であって、それでないと育てられない。現代社会のように、核家族で一人で育児するのは不自然であり、放棄する人がいても不思議はない。
 
認知症老人の介護は育児と比べて、何倍も何十倍も困難だ。「いろんなことができない」だけなら育児と同じだけの労力ですむが、「よけいなことをする」ことがある。
 
それに加えて精神的な苦痛。育っていく「達成感」のかわりに「喪失感」がある。
 
「群れ」の中で、みんなで苦労を分け合っていれば、介護も何とかなるかもしれない。しかし、今の「個の時代」では、手伝ってくれる仲間はいない。
 
育児も介護も「社会の」問題だ。個人の問題ではないと思う。昔のような「家族同然のご近所」がいれば育児放棄も介護放棄もなくなるだろう。
 
個人や小さな家族という単位では解決できない問題だと思う。