これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

FC2ブログに引っ越しました。週一回か二回は更新しています。

これが認知症なんだ (341) 地域の協力

<That's Ninchi Show  No.341 >
 
認知症の人を地域で見守るというけれど・・
 
認知症の人を地域で見守るという動きがある。認知症サポーターを増やし、地域のボランティアの力で、福祉の予算不足を補う。そういう意図だろう。
 
公費のかかる施設介護を減らし、在宅介護をすすめているが、理想と現実は違う。政府の思うようにはならない。認知症が出てなければ家族だけでも何とかできるが。
 
認知症は家族の手には余る「特別にやっかいな病気」で、少人数の家族だけではとても面倒みきれない。単なる「記憶力の低下した老人」などではないからだ。
 
脳が壊れていくということは、人間性の破壊でもあり、一言で言えば「狂人」のようにもなる、そんな老人と同居して世話を続ける、その苦労は想像以上のものだ。
 
介護の重圧で、家族関係が悪化し、離婚などの家庭崩壊もおこり得る。心身症になって失職したり、介護放棄や自殺や心中などの悲劇もおこる。
 
家族だけでは手に負えないから、地域で支えるということだろう。が、地域の人々の協力があれば悲劇は避けられるのだろうか。
 
隣近所の人が家族同然に支えてくれれば可能かもしれない。
 
認知症老人を支えるのは「見守り」程度ではすまない。地域での見守りというようなレベルでは家族の負担が減ることはない。
 
認知症の人はだんだんとできないことが増えてくる。できないことの一例を挙げる。
 
電話をかけられない。電話がかかってきても、インターホンが鳴っても無視する。家の鍵を開けたり、鍵をかけたりできない。冷暖房のスイッチ操作ができない。
 
できないことばかりだ。同居家族がいても、その家族が仕事に行っている間は一人になる。地域の見守りというが、一時間に一回でも見に来てくれるのだろうか。
 
見に来てくれても、老人がインターホンを無視し、鍵を開けなかったら?
 
鍵を預かってくれて見に来てくれるならいい。そういう家族同然のご近所がいない限り、認知症老人の在宅介護は難しい。(一ヶ月も耐えられるものではない)
 
「地域の見守り」は遠くからでなく、近くで。何かあったときだけでなく、ふだんから毎日。それでこそ「協力、支援」になると思う。
 
「たった一人の介護」をなくすことで、悲劇はなくなる。