これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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おばあちゃんのグチ

冬が長い。2012年は十一月から寒波が来て、すぐに真冬の寒さになったからだ。十二月にはもう「一月の寒さ」と天気予報でも言われていた。
 
秋がほんの一週間か十日ぐらいしかなかった。ついこの間まで夏だった。確か九月末はまだ三十度を超えていたはずだ。秋物の服を着るときがなかった。
 
思えば春も大変短かった。四月初めも寒く、「桜に雪」になるのではと心配したぐらいだったが、四月末にはもう三十度、夏だった。春物の服を着るときがなかった。
 
日本から春と秋が消えたようだ。長くて暑い夏と、長くて寒い冬しかない。そういうことなら、暑いの寒いの文句を言わずに、これが普通なんだと思って過ごすことだ。
 
ちょうどいい気温の季節は短い。そっちを基準にして考えるから不満が出る。今の寒さ、今の暑さを嫌がらない。嫌だと思うからストレスになる。
 
人生もそうなのだろう。春や秋のような「いい時」は短く、夏や冬のような「しんどい時」や「苦しい時」は長い。人の一生もほとんどが夏と冬のようなものだ。
 
同じだけの時間でも、楽しい時は短く、楽しくない時は長く感じられる。そういう主観的な長さの違いもある。嫌なことは実際よりも大きくなって記憶されてしまう。
 
また、嫌なことを後日何回も思い出すという癖があると、記憶に刷り込まれる。それが重なると、記憶データのほとんどを「つらい思い出」が占めてしまうことになる。
 
おばあちゃんはいつも自分は不幸だ、苦労ばかりの人生だったとグチを言うが、八十年の人生、どこかに春や秋のような幸せな時があったはずだ。
 
あまりにも短くて思い出せないのだろうか。認知症はつらい。