これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (336) 話は一方通行

<That's Ninchi Show  No.336 >
 
認知症が進むと会話にならない。何を言っても返事がなく、一方通行だ。
 
おばあちゃんは言葉を忘れたわけではない。まだそこまでは進んでいないようで、自分の言いたいことだけは、おかまいなしに、どこまでも長々としゃべる。
 
幼児のような二語文などではなく、きちんと完璧に話す。修飾語までつけて。言語能力は十分残っている。認知症の発病以前と比べるとやや劣ってはいるが。
 
それなのに誰かが話しかけると、返事がない。耳が聞こえていないかというと、そうでもなく、隣室で物音がすると、「隣、うるさい」と文句を言うぐらいだから。
 
隣室との間の壁が薄いのかもしれない。そこまで入居時には考えもしなかった。どうせ老人は耳が遠いからそんなに気にならないだろうと思うのだが。
 
聞こえていることは確かだ。耳の問題でも、脳の聴覚分野の問題でもない。
 
先日もそうだ。三連休でもどこにも旅行に行けない身の上だ。おばあちゃんの老人マンションへ紙おむつを抱えて行くと、やはり会話が成立しない状態だった。
 
こっちの話に関係なく、ひとりごとのように言いたいことを言いだす。ほとんど、不平不満、これまでの人生がいかに不幸だったか、その挙句に「自殺する」話になる。
 
「何の楽しみもない、食べるだけが楽しみ・・」と言うので、「何が食べたい?」とたずねると、無言、答えはない。聞こえてないのか、理解できないのか、不明だ。
 
たぶんこちらの言っていることを「短期記憶」し、それに対する返事を考え、言葉に出す、その一連の作業のどこかが壊れているのだろう。
 
脳のどの部分に機能障害が起きているかが見えれば、対応もしやすいのだが。未来ではそうなるのだろうか。携帯で手軽にスキャンしたら、光って知らせてくれる?
 
今はどこがどう壊れているか想像もできない。これでは、対応が難しいはずだ。
 
「もう会話ができなくなったとは・・」と思ってしまう。しかし、これも考え方を変えれば、「まだ言いたいことだけは言える」ということだ。それだけの言語能力がまだある。
 
できないことは見ないで、できることだけを見ていこう。