これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

FC2ブログに引っ越しました。週一回か二回は更新しています。

これが認知症なんだ (295) 寝たきり

<That's Ninchi Show  No.295 >
 
何回も病気で寝こむと、「寝たきり」になる日、最期が近くなる。
 
老健(介護老人保健施設)に十月に入所したときは元気だったが、翌年の一月から病気がちになり、良い、悪いを繰り返しつつ、体力が落ちていった。
 
1月13日、 脳梗塞の再発の疑い(CT に写らない程度の小さい梗塞)               問いかけても反応がない、意識もうろう状態。
 
1月14日、血中酸素濃度94%にまで回復、しゃべるようになり、ナースに「起こし       てちょうだい」と言う。二日後には食事(いつものミキサー食)を再開。
                       
今までならここで 回復する。ところが、一週間ほどあとで、 血性膀胱炎 の疑いでまた点滴再開、寝たきりに戻る。
 
1月22日には、出血はとまった。施設の入所者三人がインフルエンザを発症したが         感染はない。食事再開に向けて訓練。尿量のチェックのため、導尿。
 
ここでもすんなりとは回復できない。
 
1月28日、尿路感染症  導尿管からの感染かと。
         
 2月4日、尿が正常にもどる。にごりのない、きれいな尿。点滴は1本。
      職員が側に来て「おはよう」と言うと、にこっと「おはよう」と答える。
        翌日、胸のCT を撮影、胸水はぐんと減少。点滴(抗生剤)は1本。
 
2月8日、歯科医の訪問診療で、嚥下評価。11日 食事再開(量は半分)
     よくしゃべるが、一語か二語、単語のみ。 会話は一方通行。
 
この後、二週間で食事も以前の量に戻り、残さず自力で食べれるまで回復した。
一ヶ月の寝たきりで体力は落ちたが、以前のように普通の車椅子に座れるだけの筋力は残っていた。
 
冬が終わり、もうインフルエンザの心配もない。ところが突然、再度寝たきりになる。
 
 4月16日、肺炎がきっかけか、持病の心臓病が悪化。
        
        夕方から呼吸が浅く、はやくなり、血圧が低下したと医師から連絡。
        酸素吸入と点滴。最悪のこともあると言われる。
        
4月18日  少しよくなり、声が出るようになり、午前中、CT を撮影。
        右肺に胸水がかなりたまっている。肺炎は軽い、との所見。
        血液検査で炎症反応があり、尿が濃いので、尿路感染症もある。
 
4月19日  熱は36度5分。酸素吸入は停止。頻脈(160~180)が数回。
           翌日、 看護師さんに「意識のあるうちに・・」と言われ、親戚に連絡。
 
4月22日  尿の出がよくなり、色もきれいになった。声かけに応じる。       
        介護士さんの話では「食事再開もできそう」なくらいだという。
 
        翌日、親戚が見舞いに来て、楽しそうに話をしていたらしい。
 
 ここから今までなら回復するのだが、もうもとには戻らない。
 
4月26日  一進一退だったが、ここでガクンと。意識レベルの波が激しくなる。
        午前中はよくしゃべっていたのが、午後は寝入ってしまう。
        ときにふっと意識がなくなる(傾眠) 声をかけても反応が鈍い。  
 
いわゆる危篤状態、いつ逝ってもおかしくない毎日になる。
 
5月6日   意識レベル低下。とろんとして発語がない。
5月7日   尿が出にくい。声かけには応じる。
 
危篤から脱し、悪いながら安定という状態が続いていたが、回復はない。
 
5月15日  しゃべれないし、目も開けない。さわっても反応がない。
        血流が悪化し、手先が紫がかってきているが、苦しがってはいない。
        眠ってばかり。揺さぶるとおきるが、また眠ってしまう。
 
5月17日  尿が出ていない。昨日は100cc。しゃべらない。血圧80
        ときに返事があり、目を開けるが視点が定まっていない。
 
5月18日  呼吸があらくなり、酸素吸入。足と手にむくみ。
        脈が弱く、はかれない。
 
        夕方、看護師さんから連絡。「呼吸がとまりそうです」
        ようやく息をしている状態、血圧50~60
 
5月20日  早朝五時、呼吸が止まる。
 
 
 
何年も寝たきりになる老人も多いが、寝たきりは合計で二ヶ月という短さだった。 一月から二月、四月から五月の各一ヶ月、計二ヶ月。
 
寝たきりになっても、最期まで周りの人の区別がつき、しゃべることができた。
認知症が進行しての寝たきりではなく、 誤嚥性肺炎と低栄養が原因の衰弱によるものだろう。医師の死亡診断書は「肺炎」になっている。
                                   (2012年9月)