これが認知症なんだ (328) 負担は増える
<That's Ninchi Show No.328 >
介護保険制度がいつまで有効か、十年二十年このままでいけるのか、誰もが危惧しているだろう。要介護老人は増え続けるが、社会の生産力は減り続け、税収も減る。
どう考えても、介護サービスの本人負担が徐々に値上げされることは確実だろう。ない袖は振れないのだから。覚悟しておくべきだ。
しかし、払えない人が続出するかもしれない。
現状の一割負担でも、要介護5なら標準は三万五千八百三十円、月に三万円ほどしか年金収入(国民年金)がない老人には払えない。
国民年金は満額支給でも六万円ちょっとだから、三万五千円も支払うと生活費が不足する。いくら老人が少食でも月に三万円は食費にかかり、別に医療費も光熱費もかかる。不足分はすべて家族の負担になってくる。
一割負担でもこの状況だから、二割負担や三割負担になれば、負担してくれる家族が何人もいないことには払えない。しかし、そんな大家族はどこにもいない。
息子一人(または娘一人)の収入で、老父老母の生活と介護費用をまかなうなど、よほど高収入でないと無理だ。少子化の未来は考えただけでも暗くなる。
これからずっとこういう傾向は続くだろう。公的支援は減り、私的負担が増える。
無償の介護の担い手である、お嫁さんが減ることは大きい。生涯独身や離婚などの増加で、お嫁さんをあてにできなくなる。今でも、もうすでにその傾向にある。
老人はよく「嫁の世話にはなりたくない」と言うが、将来的には「世話をしてくれる嫁がいない」老人ばかりになるかもしれない。
おカネのない老人は長生きできない、長生きすることが許されない、そんな未来が見えてくる。覚悟をして老いていこう。