認知症だとは言いたくないが・・・
周囲に認知症だと知らせるのは、身内としてはためらうものだ。
いろいろ検査をして、最後に残るのが認知症だ。認めるしかなくなっても、ほかの人にそれを言う気持ちにはなかなかなれない。
どうしてもっと早くみつけられなかったのかとか、もっと頻繁に会いに行っていたら認知症にならなかったかもしれないとか、自責の念にかられ、誰にも言えなくなることもある。
「認知症とは記憶ができない病気」という程度に思っていると、家族だけで支えていける、誰にも言わないでおこう、と軽く考えてしまう。それは大きなまちがいだ。
認知症老人は何をするかわからない。迷惑行為の範囲は、ご近所から遠くの親戚や家族の勤め先までに及ぶことがあり、家族の中だけではすまされない。
できるだけ早いうちに親戚やご近所など周囲の人に知らせるべきだ。そして協力してもらう。そうすればトラブルを防げるし、何か起こっても解決が早い。
認知症は家族だけで何とかできるような、少人数で対処できるような、そんな単純なものではない。多くの人、地域社会の協力が絶対に必要だと思う。