これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (319) 安心させる能力

<That's Ninchi Show  No.319 >
 
認知症の人は、安心できるかできないか、それが大きい。
 
今の医療では「治らない」認知症だが、介護の方法によっては「よくなる」ことがある。それを経験的にみつけ出した介護従事者の方々の功績はとても大きい。
 
「よくなる」というのは「治る」というわけではなく、脳の機能障害は消えはしないが、症状として現れてくる、異常行動(BPSD)が抑えられるということだ。
 
それだけでも違う。どれだけ介護がラクになることか。暴言、暴力、介護拒否、徘徊などで周囲の者がどれだけ日常的に苦労していることか。
 
これらの異常行動(BPSD)は、増大した不安感が原因で起こると考えられているから、老人が安心できる環境にあれば起こらない。
 
異常行動(BPSD)がひどい人は、それだけ安心できない環境にあるということだ。だから、環境を変えてあげない限り、いつまでもそれが続く。
 
家族が不安感のもとになっていることもある。施設に入所したらウソのように落ち着く場合がそれだ。家族による在宅介護が最善とは言えないこともある。
 
安心感を与えられる能力を家族が持っていれば解決するのだが、個人的能力はどうしようもない。能力が高ければ、余裕も生まれる。
 
心の余裕がなければ安心感は与えられない。が、余裕がなくても、余裕があるように見せかけることができたら、それでもいいはずだ。
 
どんな状況でも笑顔を作ることができ、余裕のある振りができ、自信がなくても自信たっぷりに見せかけることができる、それが認知症介護に一番必要な能力だろう。
 
はったりでもいい。相手(認知症老人)だって「ありもしない妄想」を真実だと思い込んでいるのだから。それで老人が安心できたらいいではないかという気がする。
 
入浴拒否をするのは、「この人だと心配、お風呂で溺れて大変なことになる」という不安感が原因かもしれない。生命の危機を感じて、たたく、蹴る、つねる、ひっかくという最大限の抵抗をすると考えたら納得できる。
 
老人に「まかせて安心」と思い込ませることが必要になる。安心感を与えられるかどうか、それが認知症介護には大きい。これがなければ介護拒否は解決できない。
 
目には目を、ウソにはウソを。「虚構の安心感」でもって、「妄想の不安感」を払拭することもできる。結果がよければそれでいいと思うのだが、どうだろうか。