これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

FC2ブログに引っ越しました。週一回か二回は更新しています。

これが認知症なんだ (224) 付き添い

<That's Ninchi Show  No.224 >
 
診察の付き添いは、どうしても「家族の仕事」なのだろうか。
 
認知症だと、病気になっても自分の症状が言えないことがある。初期ならまだしも、中期になると医師の問診には答えられない。
 
いつから痛いのか、何を食べて痛くなったのか、吐き気はあるのか、痛みの程度はどのくらいか、まるで思い出せないから。当然と言えば当然、数分前のことでも思い出せないのだから。
 
そうなると、診療には絶対に付き添いが必要だ。しかし、一人暮らしの場合はどうなのだろう。おばあちゃんのように老人マンションに住んでいて、家族は県外にいて一週間に一回か二回しか訪ねてこない場合は。
 
以前、ヘルパーさんに通院の付き添いを頼んだことがあるが、断られた。診療に連れて行くこと、診療が終わってから迎えに行って連れて帰ることはできるが、その間の部分は無理だという。
 
つまり、診察を待つ時間や、診察の立会いは「ヘルパーさんが付き添うことができない」という決まりがあるそうだ。
 
診察を待つ時間、認知症老人を一人にしておいてもいい。診察室の中も一人でいい。問診に答えられないのもしかたがない。そういうことではないだろう。あくまでも家族が診療に付き添うものという固定観念の上で作られた規定のようだ。
 
今年の介護保険法の改定で、これは改正されたのだろうか。先日、おばあちゃんの尿の出が悪いとヘルパーさんが知らせてくれて、総合病院の泌尿器科に行くことになった。訪問診療の先生も、念のため専門医の受診が必要という意見だったので。
 
しかし、家族は誰も付き添いができそうにない。総合病院の受診というのは、平日の一日がかりの仕事になるから。
 
また、もう一つ問題がある。家族はたまにしか見ていないから本人の病状を把握できていない。毎日見ているヘルパーさんとは違う。診察に立ち会っても、うまく説明できるかどうか。ヘルパーさん以上に本人の代弁ができるわけがない。
 
ケアマネージャーさんに相談すると、時間外料金(介護保険でカバーできないから、限度を超えるので)を払えば、ヘルパーさんが付き添い可能だという。
 
当日になっておばあちゃんが「病院には行きたくない」と嫌がったため、まだ実現していないが、こういうように融通がきくと、とてもたすかる。
 
介護保険法を作っている人はどうやら「家族」が何でもできると思っているのでは?
介護は家族が主体で、介護できる家族のいない老人のことは考えない。考えられないならそれでもいいが、細かい規則を設けるのだけはやめてほしい。
 
「ヘルパーさんの仕事はここまで」という規定は、必要なら作ってもいいが、もっと大きな枠で、臨機応変に融通がきくようにしてほしい。地域や、個人の事情によって枠を広げることができるような、ゆるやかな規制が望ましい。
 
官僚と呼ばれる人には無理な注文なのだろうか。
 
                                              (2012年6月)