これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (222) 黙ると

<That's Ninchi Show  No.222>
 
いつもどなっている人が黙る。病気なのだろうか。
 
この二、三週間ぐらい様子がおかしい。いつも老人マンションのドアを開けると大声で「何しに来たん?」「早く帰れ」と言うおばあちゃんだが、それがぱったりと消えた。話かけても返事もしない。また脳梗塞が起きているのだろうか。
 
前回は冬だったから、乾燥による脱水で脳梗塞の発作が起きた。そのときも、しゃべらなくなり、しゃべっても発音が不明瞭で何を言っているのかわからない状態だった。いつも以上に何をする気もなさそうで、ほとんど目も開けていなかった。
 
特に「おかしい、いつもと違う」と思ったことは、口が開けられなくなったことだ。食欲がないから果物でもと苺を用意するが、苺が入らない。ごく普通の小粒の苺を切ってあげないと、口に入らない。これこそ脳梗塞の特徴だったのに、まったく知識がなく、認知症が進んだのかなと誤解し、病院搬送が遅れてしまった。
 
運動機能の急激な低下、これは「認知症だから」ではすまされない。しゃべらないおばあちゃんが気になり、運動機能という点に気をつけて見てみた。ヘルパーさんの動きを目で追っている、が、顔は動かない。そちらを向くことがない。どうやら首が動かないようだ。小さい脳梗塞(隠れ脳梗塞)が起きている可能性がある。
 
いつもと違うのはそれだけではない。トイレ介助で起こそうとしたときもそうだ。いつもならヘルパーさんにしがみつくようにして起き上がる。それができない。人形というより重たい石像 を持ち上げるようなものだ。65kg以上はあるから、協力してくれないとなると、小柄で力のなさそうなヘルパーさんには大変な作業になる。二人がかりで何とかという感じだった。
 
ヘルパーさんに食事の様子を聞いてみた。この人が食事介助をしてくれた時は特に異常はなかったということだ。普通に食事は摂れている。ヘルパーさんの話では、脳梗塞が起きると、「スプーンを口もとに運ぶ」という動作すらできないらしい。おばあちゃんはいつものように自力摂取できているから、そうではないということだ。
 
高温多湿で、「脱水」になっているのかもしれない。脱水により脳の血流が悪化し、「失語」や「運動機能の低下」をもたらしていることもある。もっと水やお茶を飲んでくれたらいいのだが、いつも「いらない」と断るから。
 
ヘルパーさんには「水分摂取」の件を頼んでおいたが、本人が「いらない」と言うのを無理には飲ませられない。何かいい方法はないのだろうか。
                                    (2012年6月)