これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (220) 読む

<That's Ninchi Show  No.220 >
 
字を読む力は、要介護4、5 でも残っている人は残っている。
 
書くほうは、できないことが多い。発病すると、何もかも代筆しないといけない時期がすぐにやってくる。自分の名前すら「書き方を忘れている」のか、字の形が漠然としたイメージでしか思い出せないのか、お手本を書いてみせて、練習してやっと書ける程度だ。
 
おばあちゃんの老健(介護老人保健施設)でも、重度のお年寄りの中には雑誌をいくつも読んでいる人が何人かいた。食事以外は何もすることがないから、リビングに置いてある雑誌を見て過ごしている。これは誰かが寄付してくれているのだろうか。
 
そこのは読みつくしてしまって、退屈そうにしているおじいさんがいると、職員さんが、別のフロアから違う雑誌を持ってきてくれていた。おじいさんは歩行困難で自力移動できないから。職員さんも忙しい中で、面倒がらずに個人対応してくれている。
 
歌詞を集めてある「歌の本」を読んでいるおばあさんもいた。知らない歌やメロディを思い出せない歌のページは、音読(棒読み)で、知っている歌をみつけたら歌い出す。こんなにしっかり記憶できているから認知症ではないのかと思ったら、会話は何が何だか、やはり「異次元のおばあちゃん」だった。
 
また別のおばあさんはどうやら「写真」を眺めて楽しんでいるようだった。料理の大きな写真が載っている雑誌(オレンジページ)ばかり見ていた。これなら、字を読まなくても(読めなくても)わかる。今はキザミ食(細かく刻んだもの)だの、ミキサー食(流動食)だので、見た目にはおいしそうにない食事ばかりだから、なつかしく思い出しているのだろうか。
 
老人ホームにいると認知症が進むと言われるが、それは何もしないで寝てばかりいる人が多いからだろう。そんな中でも何かすることを自分でみつける人はいる。そうすれば脳は活性化し、認知症の進行を抑えることもできる。
 
問題は自分からは何もしようとはしない人達だ。性格というか、個性というか、その違いだけなのだろうか。
                                      (2012年6月)