これが認知症なんだ (217) 大部屋
<That's Ninchi Show No.217 >
個室が中心になり、大部屋が減ると費用の問題が出てくる。
普通の人だって相性が悪かったら、同室者と争いになることがある。認知症老人は、相手のことを一切考えられず、自分中心の主張を頑固に押し通す。妥協やガマンはない。だから、認知症であればなおさらだ。個室のほうが望ましいだろう。
個室では、二千円、二千五百円だ。(トイレが付いていると高い) 一ヶ月では三万円以上の負担になる。年金しか収入がない場合はこの負担は重い。
要介護3、大部屋(4人室)、限度額認定なし、この条件では一ヶ月約九万五千円だが、他に洗濯代が一万円ほどかかる。国民年金が三万円しかないから、あとは家族の負担だ。この世代は途中から年金制度が始まり、払った期間が短いため、満額(六万いくらか)はもらえない人が多い。貯金はない。長生きすればわずかな貯金は使い果たしている。
入所相談の時に、大部屋の希望を示したが、なかなか難しいということだった。個室や二人室が多く、大部屋は少ない。それなのに、費用のことからか、やはり大部屋の希望者が多いらしい。
二人室に入所して、五ヶ月後、やっと空きが出て大部屋に移ることができた。限度額認定で居住費と食費の減額をしてもらったから、一ヶ月約七万五千円(別に洗濯代が一万円ほど)になる。が、これでも国民年金の満額を超える。
最も費用を抑えても結局は家族の負担なしにはすまされない。
「親を認知症にしない」こと、「寝たきりにしない」こと、それしかないようだ。それだって容易ではないが、それ以外何ができるのだろう。
(2012年6月)