これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (216) おこす

<That's Ninchi Show  No.216 >
 
認知症の発病から何年もたつと、寝てばかりいる。
 
することがないから(できることがなくなってしまって)寝てるのか、身体を起こしている状態がしんどくて寝ているのか、食事とトイレ以外は一日中寝てばかりいる。
 
昼間そうやって横になってうつらうつらしているから、夜なかなか寝付けない。睡眠導入剤などの薬がないと眠れないと言ったりする。
 
老人マンションは施設ではないから、一日どう過ごすかは自由だ。「自由」に寝てばかりいられる。老健(介護老人保健施設)では違う。寝ている老人を起こす。「体操」だとか、コーヒータイムだとか、おやつの時間だとかで、「離床」を促してくれる。
 
施設のケアプランには「離床の機会を提供」と書かれている。寝てばかりいると、機能低下が進み、寝たきりが固定してしまうだろう。身体は使わないと使えなくなる、廃用障害というらしい。が、認知症が進めば進むほど、自分から「動く」ことをやめる。
 
重度者を起こすのは二人がかりの重労働だ。重度者のフロアでは、ほとんどの老人が食後にはベッドで横になっているから、一人一人声をかけて、眠っている人を起こして、デイルームに連れていく。これを一日に何回もやってくれる。(五回か六回か)
 
病院と老健の大きな違いは、ベッドに食事用移動テーブルが付いていないことだ。老健では三度の食事をすべてデイルーム(リビング兼食堂)で摂る。
 
動かすのが大変な重度者でも毎回「離床」して食事する。リクライニング車椅子などに乗せて連れていって、食後にはまたベッドに戻してくれる。
 
一日中ベッドにいるのは、病気か体調が悪い時だけだ。胃ろうなどの経管栄養で寝たきりの人は別だが。こういう人は病院にいるのと全く同じだろう。
 
「ほとんど寝たきり」と「寝たきり」の差は大きい。起きて座っていることができるが、自分の意思で寝ているのと、手足が動かせず自分の意思にかかわりなく、寝ていたくなくても寝ているしかないのとでは。寝たきりにはさせたくない、できることなら。
 
老人マンションでも、体操やコーヒータイムを設けてくれたらいいのだが。が、嫌だと言って参加しないで寝ている可能性が高い。何か「起こす」方法はないのだろうか。
                                     (2012年6月)