これが認知症なんだ (213) 肺炎の予防注射
<That's Ninchi Show No.213 >
肺炎の予防注射(肺炎球菌ワクチン)をしていても、肺炎に何度もかかる。
おばあちゃんは三度目の老健(介護老人保健施設)に入所して初めて、肺炎の予防注射をした。それまでの二回は別の老健だったが、全くその配慮はなかった。こちらから言わない限り予防注射のことまで考えてくれないのかもしれない。
病院に付属のデイサービスに通っていたが、そこでも肺炎の予防注射の提案はなかった。ここはインフルエンザの予防注射すら、家族の申し出がないと打ってくれなかったから。本人の言葉を鵜呑みにして、別の病院で打ったということですませてしまったことがある。家族に何の通知もなく。
もうすぐ正月という時期まで注射をしていないということで、家族が施設に連絡し、やっと解決したのだが。認知症老人の言うことをそのまま受け取っているとは。(前の年は家族の申し出がなくても、きちんと秋に注射をすませてくれていた。病院の付属施設だからと、次の年も安心していた。)
認知症の初期はしっかりしていることもあって、施設の職員さんでも「うそ」か「ほんと」か区別がつかないのだろう。もう少し家族との連絡をとってくれていたら。一人暮らしだからかもしれない。同居家族がいれば、デイサービスの送り迎えのときに必ず家族との接点があるから、施設との交流がある。
別居の場合はそれがないから、特に頻繁に施設や訪問介護の担当者との連絡を取り合うことが必要だろう。ましてや遠距離ならなおさらだ。急病などで駆けつけることができないから、ケアマネージャーさんやヘルパーさんに頼むことになる。
肺炎の話にもどる。高齢者の死因の多くを肺炎が占めるから、高齢になったら肺炎の予防注射は打っておくべきだろう。しかし、これは肺炎球菌のワクチンであって、肺炎球菌による肺炎だけに効く。(肺炎球菌にも型があり、このワクチンでも効かない型もあるらしい。八割ほどは有効だそうだ。)
他のウイルスや他の細菌による肺炎は防ぎようがない。もちろん誤嚥性肺炎も防げない。また、有効というのは「かからない」「肺炎にならない」という意味ではなく、かかることもあるが、「肺炎になっても軽くすむ」ということも含む。予防注射をしたからといっても肺炎にならないというわけではない。
この冬、おばあちゃんは何回も肺炎になった。高齢だからその都度「覚悟」させられたが、軽い肺炎ですみ、いつも回復できた。予防注射のおかげなのかもしれない。
(2012年6月)