これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

FC2ブログに引っ越しました。週一回か二回は更新しています。

これが認知症なんだ (317) 知らないと

<That's Ninchi Show  No.317 >
 
情報不足、知識不足から誤解が生じる。
 
施設の体操指導の様子を見たことがある。まだ手足を動かせることができる老人たちを集め、職員さんが一人前に立って体操の見本を示していた。
 
見本を見せても、そのとおりにできている老人はほとんどいない。それらしい動きの人もいるが、ただ立っているだけの人や、よそ見をしている人、おざなりに手足をばたつかせているだけの人など、まったくやる気のないような人が多かった。
 
これでは少しも運動にならず、リハビリの効果など望めないと思った。体操の指導にもっと気を入れてくれたらいいのに、指導するほうにやる気がないのではとも思い、「だから施設は・・」という気持ちにもなった。
 
今から思えば大きな誤解だった。これについて苦情を言わなくてよかったと思う。
 
認知症とは脳機能障害によるもので、脳の「やる気」分野が機能不全になっていたら、どんなに「熱血指導」をしても、やる気がないのだから体操ができるわけがない。
 
また、「他人の動作をまねる」という部分に障害があれば、目の前で体操を見せてくれても、同じ動作ができない。ただ呆然と見ているしかない。
 
体操の時間に、体操ができている老人がいることのほうが珍らしくて、「できていない」のが普通、そう考えるべきだった。参加しているだけでいいと。
 
今なら、体操のおにいさんの動きを目で追っているだけでいい、十分それで脳の刺激になっていると、そういうふうに理解できる。以前のように無意味だとは思わない。
 
知らないということは誤解を生みやすい。無知なばかりに、不満に思うこともあり、恨みに思うこともあるだろう。施設やヘルパーさんへの不満のいくつかはそれだ。
 
認知症老人のいる家族は、自分なりに認知症についての知識を持つよう努力する必要があると思う。誰も教えてくれないから、自分から学ぶという努力がいる。