これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (212) 肺炎

<That's Ninchi Show  No.212 >
 
老人は肺炎になりやすい。ただの風邪が命取りにもなる。
 
風邪をひいてなくても、突然肺炎がおこる。誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎)だ。食事中や、飲み物を飲んでいるときに、むせて、口の中の雑菌が気道に入ってしまう。嚥下機能(のみこむ力)が低下することに起因する。
 
老化や認知症の進行や脳梗塞などで、嚥下能力はどんどん落ちていくから、避けられないようにも思える。食事や運動に気をつけ、生活習慣病にならないようにして、脳の老化を防ぎ、脳の血流を保持して、趣味や仕事で活性化させることだろう。そうすればしばらくは避けられるはずだ。
 
それができていたら、認知症にはならない。認知症になってしまったら、どうすれば嚥下能力を保っていけるのだろう。認知症老人は自分から脳を使わない方向へと向かう。使うことを嫌がり、使わないことを望む。リハビリだって嫌がる。
 
そんな認知症老人をどうすることもできない。何か機能低下を防ぐ方法はないのだろうか。飲み込む力をつけるリハビリとか。ただ、もしそのリハビリがあっても、認知症老人にはリハビリをする気がさらさらないのが問題だが。
 
「胃ろう」にすれば、誤嚥性肺炎はなくなるはずと普通は思うだろう。胃に穴を開けて、管を通して、そこから栄養液を注入するのだから。口から食べ物や飲み物を入れないわけで、「誤嚥」はあり得ない。咳き込むことはないだろうと。
 
ところがそうではない。寝たきりの老人は何も飲んだり、口に入れたりしていなくても、しょっちゅう咳き込んでいる。そんな人を施設で何人も見た。自分の「唾液」を「誤嚥」しているようだ。唾液をうまく飲み込めないで、それが気管に入り、むせてしまう。
 
寝たままという姿勢が、誤嚥を起こしやすくしているのでは? 昼間はベッドを起こしておいたらとも思うが、背筋など筋力が衰えていて、その姿勢を保つのは苦しい。寝たきりが長いと、筋力はなくなって、寝返りする力すらない。
 
寝たきりにさせない、それしかないだろう。認知症でも、ほぼ寝たきりでも、補助があれば歩けるとか、自分で車椅子を動かせるとかの段階なら、そこで進行をとめることができれば。
 
長生きしてよかった、そういう晩年であってほしい。唾液の誤嚥で肺炎を繰り返し、苦しみながら最期を迎えるというのは避けたい。何か方法はないものだろうか。
                                      (2012年6月)