これが認知症なんだ (211) 前例に学ぶ
<That's Ninchi Show No.211 >
症状も人によって全然違うが、前例に学ぶことはあるのだろうか。
認知症は軽いときから個人差があり、前例は参考にしかならない。そのままでなく、応用して、実践する。個人個人でどういうように進むのか違うから、見当がつかない。何年で寝たきりになるとか、何年で嚥下できなくなるとか、全く予想できない。
家族としては心の準備もあるが、お金の準備を考えねばならない。似たような前例があれば、参考になるだろう。かなりの量の「認知症介護日記」がどこのブログにもあるので、似たケースに出会えれば役に立つ。多過ぎて検索が難しいが。
前例を見ても、これからどうなるか、それがわからないという不安は消えない。
ただ一つわかっているのは、脳血管型認知症の場合はある時点を境に急激に認知症が進むということだ。以前からこのタイプは階段を下がるように機能低下が進むとは聞いていた。アルツハイマー型がゆるやかな斜面を降りていくように進むのと対照的に。
実際そうだった。脳梗塞の発作が起きるたびに「階段」を下った。確実に何段階か、がくっと急降下だ。その都度、次の対処法を考えねばならない。こういう時、経験豊富なケアマネージャーさんがいてくれると大変心強い。突然、何段階も進んでしまうと、家族だけではどうしようもない。
理想はそうだが、現実はそうとは限らない。何人もケアマネージャーさんは交代したが、若い人が多い。経験の浅い人も。この業界は「これから」、発展途上で、若い人が多いのだろう。また、ストレスの多い仕事で続けられず、三十代後半から四十代くらいで転職してしまうのかもしれない。
そういうわけで、ほとんど誰も頼りにはできなかった。「認知症家族」は認知症のことや、介護制度などは自分で学ぶ努力を続けていかねばならない。知らなければ質問ができない。質問しなければ誰も何も教えてはくれない。まったく前に進めない。
(2012年6月)