これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (210) なじみ

<That's Ninchi Show  No.210 >
 
大概の施設にはデイサービスが付属している。
 
施設入所を考えるとき、最初に費用、その次に来るのが、場所、つまり「なじみ」があるかどうかだ。老人はだいたいが保守的で、新しいことを嫌がるから。その点で、いつも通っているデイサービスに付属した施設というのは、他と比べてなじみがある分だけ説得しやすいようだ。
 
おばあちゃんが老健(介護老人保健施設)に最初に入所した時もそうだった。「いつも通っているデイサービスと同じところ」と言うと、あまり文句は出なかった。やはり「なじみ」があるところは違う。他の施設の悪い評判をあげて、そういう所は行きたくないが、いつもの所なら考えてもいいと。
 
この時は家族が入院している間だけという、期間限定だったが、入院の日が決まっていて説得に時間がかけられなかった。初めは嫌がっていたが、周りの人の助言もあり、短期入所という限定もあって、最終的には納得して入所してくれた。
 
ただ一つの問題は、おばあちゃんの考えを修正することだった。おばあちゃんは、老健入所後でも朝はいつものデイサービスに毎日行くと理解していた。夕方には老健に帰り、夕食をとって寝る、そんな風に。
 
同じ建物の中にあるのだから、それでもよさそうだが。実際は、老健入所者は老健のデイルーム(リビング兼食堂)や廊下で、日中を過ごす。リハビリしたり、テレビを見たりして。リハビリは入所当初は毎日だが、しばらくすると、週に二回か三回だ。
 
デイサービスのほうが、リハビリやレクリエーションは充実していたから、きっとすることがなくて、退屈だっただろう。施設入所者もデイサービスに行けるようにしてくれないものだろうか。費用の問題なら、少々追加料金を払ってでもいい。
 
なじみのある、というのは大きい。何年も通っていると、デイサービスの職員さんとも親しくなっており、顔なじみの老人も大勢いる。安心感がある。まったく違う環境にほうりこまれるのとは全然違う。
 
いつものデイサービスに行きながら、施設で宿伯するというのが理想だ。
そうなれば不安感の大きい認知症老人でも、少しは安心して施設入所へ臨める。
制度上の問題があるのだろうか。老人の立場で制度も考えてもらいたいものだ。
                                   (2012年6月)