これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (208) 遠距離介護

<That's Ninchi Show  No.208 >
 
「遠距離介護」というが、近くにいないと「介護」はできない。
 
「介護」という言葉の中には、「広い意味での介護」と実際に側で世話をするという「実質的介護」の二種類があるのだろう。
 
認知症老人は判断力もなくなり、大事なことから日常のささいなことまで、全て決定ができない。広い意味での介護とは、本人に代わって「今」と「これから」を選択し決定を行うことだ。
 
「遠距離介護」とは、ほとんどが広い意味での介護になる。一週間に一度しか、おばあちゃんの老人マンションには行けないから、実質的介護はほとんどしていない。「介護をしています」とは、とても言えない。介護はヘルパーさんまかせだ。
 
ただ、毎日「決定の責任」はかかってくる。何かがあるとマンションのケアマネージャーから連絡され、その都度、本人に代わって考え、決断する。
 
おばあちゃんの老健(介護老人保健施設)も家族が毎日のように来ている人と、そうでない人がいる。職員さんに聞いたのだが、今は家族が遠方にいて一ヶ月に一回ぐらいしか訪ねてこない人が半数ぐらいになるそうだ。
 
そういう時代だから。家族がばらばらで、老人だけの世帯が多い。地方には仕事がないということもある。もともとそういう傾向だが、長い不況が拍車をかけている。
 
老健の入り口にある面会者のリストは、いつも多くの名前が書かれているが、近くに住む人ばかりなのかもしれない。必要な物を届けてすぐ帰るような。
 
たまにしか行けないとなると、すぐに帰るわけにいかない。何時間も半日以上も施設にとどまっている。その間には同室者の家族の方に会うこともある。
 
息子か孫か、仕事の帰りに衣服を届けに来ていた。40人の重度者のフロアーで、せいぜい二人だ。面会に来ている人を見かけるのは。
 
やはり遠距離の家族が多いのだろう。月に一回ぐらいの面会になる。
 
「遠距離」の家族にとって、施設は必要不可欠の存在だ。施設介護は存続してもらわないと多くの家族が困窮する。家族のあり方の多様性に合わせて、介護のあり方も多様であるべきだ。「在宅介護」に統一しようなどとは思わないでもらいたい。
                                   (2012年6月)