これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (151) 役割を持たせる

<That's Ninchi Show  No.151 >
 
「老人ホームに入居すると認知症が進む」と老人は思っている。
 
それはそうかもしれない。老人ホームでは生活上の心配がないからだ。夕食をどうしようと考える必要がない。自宅にいれば、近くのコンビニのおにぎり弁当ですますかなと考え、杖をついて買いに行く。
 
たったこれだけでも、頭と手足を使う。毎日、毎食、これを繰り返す。頻繁に脳を使うこと、それが認知症を予防し、進行をおさえる方法だから。
 
食事一つをとっても、「与えられる」のと、「取りに行く」とでは全然違う。それが生活全般にわたるから、違いは大きくなる。
 
では、自宅なら問題はないかというとそうとも限らない。自宅にいても、同じことが言える。「自立心」をなくし、「依頼心」が増えれば結果は同じだ。
 
誰かに頼りきってしまうと、脳を使うことが減り、認知症に近づく。
 
「よいお嫁さんがいると認知症は進む」という場合もある。よく気がつき、働き者のお嫁さんがいると、何もかも全て代わりにやってくれて、何の心配もないからだ。「認知症にしないために鬼嫁になる」ほうがいい。世間体は悪いかもしれないが。
 
自分で考え、自分で動く。それを続けることが老人には重要になる。「楽隠居」で何もしない、そんな生活が認知症老人を作ると言えないこともない。
 
一日テレビの前に座っているだけで「何もすることがない」のでなく、何か「役割」を持たせる、その必要がある。従来、「家」や「地域」の中で、「老人の役割」はあったはずだ。今の社会構造では、それがない。または、なくなりつつある。地域によって。
 
施設でも「役割」を考えてくれている。おばあちゃんが老健(介護老人保健施設)に入所した日、介護の職員さんのお手伝いをしている老人がいた。職員さんの後ろから、おばあさんが車椅子を自力で動かして付いて来た。膝に枕をのせて。
 
夕食の前には、おしぼりを丸めるお手伝いをしている、別のおばあさんも見た。毎食、人数分のおしぼりが準備されるから、15個前後だろうか。
 
食事が始まるときは、また別のおばあさんが役目をつとめていた。「今日の夕食のメニューは、・・・」と、館内放送だ。なかなか苦労していたが。ほとんど職員さんが小声で言うのを「おうむ返し」に言うだけ。
 
施設によっては、花壇や菜園の世話など、いろいろと老人の役割を考えてくれている所もある。どんなに年をとっても、手足が動きにくくなっても、何かできることはある。最期まで役割があること、それが幸せな老後ではないだろうか。