これが認知症なんだ (141) 階段がない
< That's Ninchi Show No.141 >
老人の施設は、階段がないところが多い。非常時はどうするのだろう。
おばあちゃんの老人マンションは建物内部には階段がない。外付けの非常階段はあるが、そこへのドアは施錠されている。非常時には自動開錠になるそうだ。
以前に入所していた老健も同様だ。エレベーターしか使っていない。老人は階段が苦手だから、あまり使われない。一人で上り下りされて転倒でもされたら困る。階段は必要がなく、危ないから設置しないほうがいい。
ただ、面会に行く家族にとっては階段があるほうが便利だ。老人用のエレベーターはゆっくり動くようになっていて、何もかもが遅い。一階玄関ホールでボタンを押しても、三階から一階に降りてくるのも、かなり待たされる。
高層ビルの高速エレベーターとは、まったく逆の状態だ。上下の移動時間も、ドアが開いている時間も長いからだ。同乗者が車椅子だと、出入りにも時間がかかる。ドアもゆっくり閉まる。
階段なら二階にあがって渡すものを渡して帰ってくる、それぐらいの時間をエレベーター待ちに使う。職員さんの上下移動はどうしているのだろう。
階段がないと、時間がかかって無駄が多い。二階の居室から、一階の事務所に書類を取りに行くのでもエレベーターを待つのでは。
例外もある。先日見学に行った特養(特別養護老人ホーム)は、玄関ホールの奥に階段があった。館内見学には手前のエレベーターを使って案内されたので、どういうふうに使われているのかは確認できなかったが。
神戸の大地震のときがそうだった。玄関ドアがゆがんでしまい、開けられなかった。閉じ込められた。隣家の車のライトが見えたので、窓から大声で「開けてください」と頼み、数人がかりでやっとドアは開いた。
次に老人マンションを選ぶときは、内部にも階段がある所にしようと思う。
(2012年3月)