これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (129) 老健の入浴

<That's Ninchi Show  No.129 >
 
施設は大概、一週間に二回、午後に入浴がある。この時は周囲は大騒動だ。
 
おばあちゃんが三度めの老健(介護老人保健施設)に入所して、数ヶ月が過ぎた。交通費も時間もかかるから、一ヶ月に一回、見に行く程度だ。県境を二つ超える。新幹線を使っても、施設は駅から遠いので片道三時間になる。
 
たまたま様子を見に行った日が、入浴の日だった。初めて見ると何事かと思う。廊下を老人を載せたベッドが行きかうさまは。かなりのスピードだ。短時間に何人もの入浴をすませるのだろう。よく正面衝突しないものだ。
 
機械式浴室に「行き」のベッドと、入浴を終えて「帰り」のベッド、その方向が違うベッドが行ったり来たり。自室のベッドに寝かせたまま動かすとは知らなかった。みごとな省力化、合理化。
 
おばあちゃんのフロアーは介護度が重度の老人ばかりを集めてある。歩けない、動けない、車椅子や寝たきりの人だ。機械式では寝たまま入浴できるらしい。
 
この施設には「車椅子に座ったまま入浴」というのはないから、車椅子の老人もこの「寝たまま入浴」になるそうだ。
 
以前は歩けたから、普通の浴室で、ヘルパーさんがマンツーマンで介助してくれていた。おばあちゃんはヘルパーさんが身体も頭も洗ってくれ、背中も洗ってくれるからかゆくなくなったと喜んでいた。自分では手が不自由で、よく洗えてなかったらしい。
 
今回の機械式入浴の感想も聞きたいものだが、質問に的確に答えるのは、もうできない。言いたいことしか言わないから、たぶん感想は聞けないだろう。外から見た感じでは、とても清潔になっている。機械式でも。
 
いつもはリビングにお年寄りやヘルパーさんたちが数名いるのだが、この日はがらんとしていた。総出で入浴介助にかかっている。ケアマネージャーさんが電話番をしているため、話かけることもできず、様子が聞けなかった。
 
それにしても、ここのヘルパーさんたちは体力がある。あんな重いベッドを軽々と動かして、いくらキャスター付きでも。若い人が多いからできるのだろう。
 
                                   (2012年1月)