これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (311) 介護拒否、時と人

<That's Ninchi Show  No.311 >
 
介護拒否の理由は、たぶんいくつもある。
 
拒否の原因はいろいろあり複雑だが、大きくは二つに集約されるだろう。
一つは「本人の意思にそぐわない時」で、二つめは「本人の意思にそぐわない人」だと思う。
 
介護拒否の対処法として、「時間を置いて、しばらくしてから声をかける」とか、「介護の担当者を交代させる」とかいう方法があるが、まさしく「時」と「人」だ。
 
本人の意思に合致した「時」を選び、本人の意思に合致した「人」が担当すれば、介護拒否はおこらないだろう。が、ここまで特別な個別対応などできない。
 
家族による介護なら、まさしく個人対応だから問題なくできるかと思われるが、そうでもない。家族はだいたいが老人本人の意思に合致した「人」ではないからだ。
 
たとえば入浴一つにしても、本人が拒否しない場合はというと、「時」の条件以外に、「人」でも条件が二つあるようだ。「好きなヘルパーさん」であって、かつ「入浴介助の技術がしっかりしている」ことだ。
 
介護技術が未熟だと安心できない。以前に熱いお湯をかけられたとか、痛かったとかいう記憶が残っていて、「この人はだめ」と頭にすりこまれているかもしれない。
 
認知症老人は何もかも記憶できないわけではない。嫌なこと、苦しいこと、悲しい思い、怒り、悔しさなど、忘れたほうがいいことだけは不思議と忘れない。
 
また認知症老人は、なぜか最も身近で、誰よりも長い時間世話をしてくれている人を悪者にする。よって、介護している家族、特に同居の家族はいつも一番の嫌われ者にされがちだ。
 
ということは、家族は完全に「拒否」の対象だ。一番嫌いな人で、かつ、介護の技術が全くないか又は未熟過ぎて何をされるか不安だからだ。
 
かといって、普通の家庭では施設のように「担当者を交代させる」ことはできない。よほどの大家族でもない限りは不可能で、都市部の核家族では言うまでもない。
 
大家族でも入浴介助ができる人は限られる。体力が必要だ。60kg以上ある老人を浴槽から引っ張り上げるのは相当な力がいる。技術がないとよけいに。
 
在宅介護でも、施設介護でも、どちらにも一長一短があり、「介護拒否」は解決できないということだ。第三の介護、ロボット介護の時代が来るのを待つしかない。