これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (84) 好物

<That's Ninchi Show  No.84 >
 
認知症になっても、食べ物の「好き嫌い」は残っているらしい。
不思議と忘れないようだ。
 
好きな食べ物には、何か不思議なパワーがあると思う。
「できないと思っていたことが、好物を眼前にするとできる」というような。
これがもっと早くわかっていたらリハビリに使えたのだが。
 
おばあちゃんは二年ほど前から手づかみで食べることが多い。
お箸が上手に使えなくなったからだ。
スプーンでとりにくいと手づかみ。
 
ところが、お正月に家族が集まった時、お節の黒豆をおばあちゃんの皿にとってあげたら、昔のようにお箸で一粒づつ上手に挟んで食べていた。
 
この日は特別に頭が働いていたのか。
それとも、本当はお箸がまだ使えたのに、使ってなかったのだろうか。
特別に頭が働いていたなら、他の料理もお箸で食べるはず。
他は手づかみだったからそうではない。
どういう理由なのか、考えてもわからない。
 
おばあちゃんは昔から黒豆などの豆類は好んで食べていた。
発病前のお正月を思い出してみると、確かに黒豆はいつもたっぷり用意してあり、「豆は栄養があるから」と家族にも勧めていた記憶がある。
 
毎日テレビの「きょうの健康」をチェックしていて「健康にいい」ものは納豆までがまんして(昔の関西人は普通は食べない)食べていた人だった。
黒豆を見て、お箸の使いかたを思い出したのだろうか。
 
もう一人のおばあちゃんは、老健(介護老人保健施設)に入所している。
一年ほど前から嚥下困難で、飲み物はどれも「とろみ」をつけないと飲めない。むせてしまう。
 
だが、老健のケアマネージャーさんの話では全部が全部「むせて飲めない」というわけではないらしい。
食事のときのお茶は「とろみ」がないと気管に入って咳き込むが、おやつのコーヒーやココアは違うらしい。「とろみ」なしでも、むせない。
 
おばあちゃんはコーヒーが好きだった。
自宅にいた頃は、杖をついて毎日のように近所の喫茶店に通っていた。
好きなものは何かパワーがあるようだ。