これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (309) 行き着く先は

<That's Ninchi Show  No.309 >
 
異常行動(BPSD)がなければ、認知症の介護はずっとずっとラクだろう。
 
身体的、経済的な負担もあるが、やはり精神的に一番こたえる。できればこんな姿は見たくないが、この状態では一人にできないから、見ないわけにはいかないし、後始末もある。家族だから。
 
不思議なことに、異常行動(BPSD)は脳が働いているときに起こるそうだ。つまり、これが起きているときは脳の血流もよく、酸素も栄養も足りているということだ。
 
認知症が進行すると異常行動(BPSD)も少なくなり、おとなしくなるという。脳の血流が悪化し、脳の神経細胞が死滅した結果、脳の働きが衰えてそうなるのだろう。
 
何年も異常行動(BPSD)に悩まされていると、いっそ治療などせずに、さっさとおとなしくなってもらったほうがいいと思ったりもするだろう。
 
治療の目的、最高目標は現状維持だ。治療の効果があったら、異常行動に悩まされる現状がずっと続くことになる。介護拒否が出ると、介護も困難になる。
 
いつまでも周囲に迷惑をかけるより、「寝たきり」のほうが扱いやすいなどと思うこともあるかもしれない。実際に「寝たきりの認知症老人」を見たことがない場合は。
 
認知症老人の行き着く先は、「胃ろうで寝たきり」だ。本人の意思がなくなって、暴言も暴力もできなくなり、扱いやすいかもしれないが、介護がラクとは決して言えない。
 
寝たきりになれば、それまで元気だった人がウソのように、簡単に感染症にかかり、「夜中に呼び出されて入院の付き添い」ということが頻繁になる。
 
「寝たきり」と「誤嚥性肺炎」は切り離せない。どんなに注意していても、最終的にはそうなる例が多いらしい。「胃ろう」であってもこの点は解決できない。
 
経口摂取ではないから、食べ物の誤嚥は少ない。が、安静を保つなど注意しないと胃から逆流することがある。また、唾液が誤って気管に入ることは避けられない。
 
「寝たきり」で嚥下能力が失われ、自分の唾液を飲み込むこともできず、気管に入って感染症を起こしたり、自分で痰を切ることができず、窒息しかけたりで、日常的に問題が起きる。(痰をとる機械があっても、うまく除去できない)
 
それらで何回も入退院を繰り返すから、家族はやはり振り回される。感染症が起きるごとに体力が弱って、何回も何回も「もしもの時」の覚悟をさせられる。
 
そんな状況を考えたら、暴言を吐いて迷惑行為をしまくる現状のほうがマシだ。「寝たきり」のほうが精神的にずっとラクだと思うのは経験していないからだ。
 
耐えられるレベルではない。「寝たきり」にさせない方法はないのだろうか。