これが認知症なんだ (75) 意志が強い
<That's Ninchi Show No.75 >
認知症老人は「ある意味」では強い。意志は固く、容易には曲げられない。
他人の意見がまったく頭に入ってこないせいかもしれない。言い出したら聞かない。
本当に扱いにくい。ケアマネージャーさんの話では、もう少し認知症が進むとおとなしくなるそうだ。しだいに言葉も忘れ、何もしゃべらなくなる人もいるらしい。
「お風呂がいやだ」などと言わなくなる。抵抗して暴れることもない。
そうなれば介護する側は今よりずっと扱いやすくなるだろう。何をするのでも「いや」と言ってじゃまばかりされるよりは。認知症が進むと介護も大変になると思っていたが、そうとも言えないようだ。しばらくの辛抱で少しラクになるとは知らなかった。
それにしても、いつも世話をしてくれているヘルパーさんの手をひっかくなどど、本当に申し訳ない。言い聞かせても聞かないから、家族としてはひたすら謝るしかない。
家族ができるのは、週に一回、おばあちゃんの爪を短く切るのを忘れないようにすること、それだけだ。嫌がられると、これも大変な仕事になる。
普通の頭では考えられない。ヘルパーさんたちがいなかったら、食事もできない。生きていけない。それがわかっていたら、そんな態度はとれないだろう。わかっていないんだ。「今」しか頭にはない。世話になっていることも覚えているかどうか。
どうして何をするのもイヤになったのだろう。着替えがイヤ、顔を洗うのも歯磨きもイヤ、トイレに行くのもイヤ。それなら生きているのもイヤなわけ?だから笑顔がなくなったのだろうか。認知症老人の考えてることはわからない。
注: 「もう少し認知症が進んだら介護拒否しなくなる」と言われてから、もう何年も。
すぐにおとなしくなる人もいれば、そうでない人もいるわけです。
何年も現状維持できていることを喜ぶべきでしょう。