これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (20) 不安 その2

< That's Ninchi Show  No.20 >
 
不安は妄想を生み、異常行動を起こす。
 
認知症老人の問題行動、迷惑行為はなぜ起こるのだろう。不安にかりたてられ、あり得ない、考えられないような妄想に支配されて、騒ぎまくる。
 
普通に考えれば、そんなことはない、そんな考えはおかしいと思う話ばかり。
 
自ら不安を作り出しているようなものだ。妄想は進化し、拡大する。何でもすぐに忘れるのに、妄想だけはしつこい。同じ妄想が何日も続くことがある。
 
老人には健康不安と、老後の生活資金が足りるかという、経済的不安がある。
 
おばあちゃんの場合は、わずかな年金とわずかな貯金しかなく、息子の仕送りなしにはやっていけない。「息子が失業したら・・・」というのが最大の不安だ。
 
「アホ社長は話にならん。商売がわかってない。」と、息子が仕事のグチを言ってたのや、失業者が増えているというテレビのニュースが頭にあったのだろう。
 
何の根拠もないところから「失業妄想」が作られ、親戚や知人に電話をかけ、息子の再就職を依頼したらしい。 電話の話し方が異常なので、誰も信じはしないが。
 
しばらくして、やっと「失業妄想」が消えてくれた。が、それでは終わらない。
 
すぐに、また別の形の妄想に進化しただけだったとわかる。 近所の信用金庫の担当者と話をしていて、その進化形妄想を聞かされたから。これにも驚いた。
 
おばあちゃんは何回も信用金庫に電話してきて、息子を電話口に出してくれと言ってきかなかったらしい。いるはずなのに、みんなが隠しているという感じで。
 
「ここにいません。」と言っても、「なんでウソつくの。そこで働いてるでしょ。」と大声で怒り出して。どうやら「再就職妄想」が成立していたようだ。
 
「失業妄想」を自分で作り出し、その不安を解消するためにまた自分で「再就職妄想」を作ったということだ。まわりは迷惑なのだが、本人は、めでたし、めでたし。
 
ただ、この信用金庫には預金もあり、貸し金庫も借りていたから、認知症だということが知られてしまったのはどうだろう。面倒なことにならなければいいが。