これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (14) 診断 その1

<That's Ninchi Show No.14 >
 
歩けるのに歩けない。歩き方がわからない。
 
機能的に足を動かすことができないわけでもない。足の筋力も残っている。
関節や骨の異常もない。整形外科ではどこも悪くないと言われた。
 
数年前の脳梗塞でも、運動機能の障害はなく、数日後には病院の中を点滴をしながら歩いていた。
 
認知症の発病の一年ぐらい前から、よく転ぶようになった。リハビリが嫌いで、筋力が落ちたからかもしれない。が、あとで思えば原因はそれだけではなかった。
 
ほとんど足を持ち上げることなく、すり足で歩くようになり、歩幅は10cmかそこら。
毎週整形外科に通院していても、少しも改善しない。湿布薬だけがたまる。
 
脳梗塞のあと、定期的に脳の検査をしている。脳梗塞が原因の歩行障害ではない。整形外科の先生に相談すると、パーキンソン病かもしれないと。
 
そのうちに異常行動が出てきた。脳梗塞なのか、パーキンソン病なのか、認知症なのか、老人性うつ病なのか、それともその複合したものなのか。
 
はっきりさせるために、おばあちゃんを市民病院に連れて行くことにした。
 
脳血管外科の先生は、脳の画像を指さして、「典型的認知症です。海馬が萎縮しているから。あとは精神科に、紹介状書いておきます。」 と。
 
おばあちゃんを前にして、きっぱりと認知症を宣告されてしまった。’まだらボケ’というか、しっかり記憶できる日もあるから、本人はショックを受けたかもしれない。
 
初期認知症患者には、家族にだけ伝えるという配慮をしてほしいものだ。
 
帰りにおばあちゃんに、「わたし認知症なの?」 とたずねられた。しっかり聞こえており、記憶していた。答えに困って、「認知症の人は、自分が認知症だなんて思わないから」 とごまかすしかなかった。
 
ヘルパーさんの「いち、に、いち、に・・」 のかけ声にあわせて、身体を支えられながら、おばあちゃんは歩いている。
 
右足を出したら、次に左足を出す。そんな普通のことが頭の中にはない。消えているのか思い出せないのか。右足を出して、また右足を出そうとする。
 
歩ける条件は整っているのに、歩けない。歩き方を忘れている。これが認知症だ。
原因不明の運動機能低下は、認知症の予兆だと言えるかもしれない。