これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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高齢者の発熱、入院が必要なのは。。

高齢者の病は急激に悪化する。

よく知られていることだが、実感がない人も多い。
核家族で周囲に老人がいない場合などだ。
様子を見ていていいのか、救急で診てもらうべきか、
「高齢者だから」と知っていても判断が難しい。

うちの親がサ高住に入居していた時のことだが、
救急車を呼ぶかどうか迷ったことがあった。
訪問介護スタッフから「すぐ来て欲しい」と連絡が。
熱が出て、食欲がなく、お白湯を飲まそうとしても吐いて、
介護用栄養ゼリーを試してみてもダメ。
意識はあるが問いかけても返事がなく、ぐったりしていて、
このままでは脱水で危険だという。
サ高住の車椅子を借りて近所の診療所に連れて行った。

前日に介護スタッフが訪問診療の主治医に連絡したが、
「忙しい」と断られたそうだ。
そこで、こちらからも電話で再度要請したところ、
逆に「かぜ薬を出しましょうか」とたずねられ、
「予定がある」と言って往診は拒否された。
結果、訪問薬局の人が薬を持って来ただけだった。
スタッフは「いざという時に来てくれないのでは、訪問診療の契約してても全く意味がない」と嘆いていた。

近所の診療所は時間的に空いていて待たずにすんだ。
初診なので「持病薬のリスト」と主治医が出した「かぜ薬」を持って行き、既往症などを説明したあと、検査。
12月でインフルエンザが始まりかけていたが、陰性だった。
処置室で車椅子のまま点滴、一時間半ほど。
その間に医師から説明があった。要旨は以下。

血液検査の結果は明日の夕方にならないとわからないので、
今のところ何の病気かは診断できない。
ただ、八十歳を越えている高齢者は肺炎の危険性が高く、
いつどうなるかわからないから、入院させるべきだ。
主治医に言って救急車を呼んでもらうのがいい。
私の患者なら即入院させる。

それならこの先生が手配してくれたらと思うが、
あくまでも入院の手配は「主治医」らしい。
医師の間には何だかルールがあるようで。
主治医は不在がちで、いても電話に出てくれないことが多いが、
そんな状況でもルールが優先なのだろう。

翌日、しかたないから近所の総合病院に車椅子で連れて行った。
車椅子を押して歩いても15分ぐらいだから。
緊急入院となった。ベッドが空いていてよかった。

さて、これで学んだことだが、
微熱でも「何も飲めない」状態の老人は即入院、ということだ。
脱水を防ぐには点滴だが、訪問診療では難しい。
点滴が終わるのを待つ余裕がないとして断られる。

もう一つ、訪問診療は役に立たない、ということ。
「定期往診だけでなく具合が悪い時も即時に対応してくれる」と、
思って安心していてはいけない。
それは制度上だけ。制度を作った側の自己満足だけ。
それを守っているのはテレビで紹介されるような先生だけ。
多くは外来診療などが忙しくて、緊急時に対応できない。
医師不足がこのまま続けば、もっと状況は悪化すると思う。
これから老人になる身としては覚悟がいるようだ。
医療技術は進歩していても「たすからない」時代なのだと。





<That's Ninchi Show 2  No.1370>