これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症を発症して十年目の母の日。。

母の日だから施設に会いに行った。

うちの親(86歳、胃ろうで寝たきり)が認知症を発症してから十年ぐらいになる。

十年前からすでに本人に「今日は母の日」という認識はなかったので、当日にわざわざ面会に行く必要は全くない。だが、

本人というより介護スタッフがどう思うかが気になって、毎年母の日に合わせてプレゼントを持って行くようにしている。

「母の日なのに家族が誰も来ない、かわいそう」と思われないように。

寝たきりになって三年七ヶ月、「母の日のプレゼントだよ」と言って包みを見せてもちらっと見ただけ、何の反応もない。

わかっていたことだった。

去年の秋ぐらいから家族が会いに来ても本人にそれがわかっているようには見えず、何の表情の変化も見られなくなっていた。

話しかけても返事はなく、ひとり言すらない。
すぐに目を閉じてしまう。

そういうことが続いていたが、この日も同じだった。
食後でも入浴後でもないのに眠ってばかり。

脳がどのくらい働いているのか、何%なのか、
どこまでわかっているのか、

このような疑問が次々と湧くのだが、これを誰にたずねても答えは出ないと思う。

このような状態でほんとうに生きていると言えるのだろうか。

脳の老化と身体の老化が釣り合っているのが普通の老人、
脳が極端に老化しているのに身体は元気なのが「胃ろう老人」だ。

そのような「気持ちの悪い存在」にしてしまったのが今の医療、
今さら嘆いてもしかたがないのではあるが。

発症して十年の母の日、「いよいよ終わりだな。ほんとうの終末期のようだ」と家族それぞれの感想が一致した日だった。

しかし、脳は終わっていても胃ろうのおかげで身体は終わらない。
この終末期はおそろしく長くなるかもしれない。

胃ろうを選択した責任があるから、どんなに長い終末期であっても最期まで支えていくべきなのだろう。

医師に「胃ろうにしなかったら半年」と言われた三年前には、ここまでのことは考えてなかった。

その場しのぎの選択で考えが浅はかだったということだろう。



<That's Ninchi Show 2 No.1268